今まで「クラウドファンディング」という呼び名の“先行支払い型衝動買い”をいったい何回やっただろうか。
筆者がwena wrist Watchの「Chronograph Premium Black」プロジェクトの支援を決めたのが2015年の9月1日。決済金額は6万9800円だった。そして実際の商品を受け取ったのはその8ヵ月後の2016年4月29日。
筆者の過去のクラウドファンディング系では支援から納入までの最長記録だった。発表当初の2015年秋のメディアの紹介では、「ソニーが開発したおサイフケータイ対応スマートウォッチ」というのが一般的だったように記憶している。
商品がデリバリーされてきてからGW期間中、ほぼ毎日このwenaを使ってみた。今回はwenaというコンセプトに基づいて開発された「wena wrist」を筆者の独断と偏見に基づいてご紹介したい。
wenaとは「wear electronics naturally」の略だそうで「人々にもっと自然に、違和感なく、ウェアラブルデバイスを身に着けて欲しい」というコンセプトだそうだ。
スマートウォッチとスマートウォッチっぽいものがあふれる現状
スマートウォッチの先祖である「Wrist Computer」(腕コンピュータ)が生まれてすでに四半世紀以上。実際に市場に浸透したかどうかは別にして、すでに世の中には「Apple Watch」やAndroid Wearを搭載したスマートウォッチがあふれている。
ほんの少しだけ腕時計マニアの筆者も、ここ数年は、各社より発売されたスマートウォッチをいくつか購入して遊んでいる。すでに手元にはないモノもあるが、数台のスマートウォッチと“スマートウォッチもどき”は、ごく普通の腕時計とともに今も併用している。
Apple WatchやAndroid系のスマートウォッチは、スマホのセカンドディスプレーやリモートの入出力機器としての位置づけが強く、Pebble Watchはその機能を独自系OSでそこそこ実現しているユニークな存在で根強いファンも多い。
拡大解釈をするならカシオの「EDIFICE Bluetooth」ウォッチなども、複雑な世界時計機能などの設定をスマホのシンプルなUIから行なえるスマートウォッチの隣接市場に位置する次世代の腕時計だとも言える。
鳴り物入りで登場したタグ・ホイヤーのスマートウォッチは、腕時計の老舗が軸足を腕時計サイドにおいて創ったスマートウォッチではあるが、その基本的な機能はAndroidスマートウォッチと大差ない。言い換えれば“気分はタグ・ホイヤー”というブランドパワーだけに留まっているところが少し残念だ。
本体は普通の腕時計
スマート機能はブレスレット&バックルに!
デリバリーされてきたwena wristはApple Watchのように華美で大袈裟なパッケージではなく、MUJIの腕時計みたいなシンプルで好感の持てるパッケージでやって来た。
同梱物である充電用のmicroUSBケーブルや充電専用クリップがなければごく普通の腕時計だ。
wena wristが昨今のスマートウォッチと明快に違うのは、あくまで腕時計部分は、専用にデザインされたとは言え、機能的にはごく一般的な市販のクォーツ式腕時計であることだ。
各社のスマートウォッチが腕時計本体部分に時計機能以外の機能を押し込んだのに対して、wena wristは、腕時計本体ではなく、ブレスレットや腕時計を腕に固定するバックル部分に論理回路や電池、Bluetooth機能などを押し込んだスタイルとなっている。
そのため、一般のスマートウォッチでは常識になっている、文字盤兼用のディスプレーが見当たらない。各種通知機能や充電状況、無線のステータスなどはバックル部分に取り付けられたLEDライトの点灯バリエーションとバイブレーションでユーザーが判断することとなる。
腕時計系の充電方法に関しては、過去30年近くさまざまな試みがなされてきたが、残念ながらいまだにこれが本命という方式を発見できていない。
もっとも多いドッキングステーション型や特殊形状のマグネット型コネクター、クリップ型など、さまざまなモノが登場しては消えているが、wena wristが今回採用したのは専用クリップを市販のmicroUSBケーブル・コネクターの先に取り付けて充電する方式だ。
クリップは取り付けに悩むことなく接続でき、初めてでも、誰でも問題なく充電できるが、専用クリップをなくしたり、長期の出張に持っていくのを忘れてしまうと、充電に関してはお手上げ状態になることも覚悟しておかなければならない。
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