「マテリアルサイエンスラボ」
さらに、アプライドサイエンスラボでは、マテリアルサイエンスラボと連携しながら、Surfaceのキーボードの素材の評価、選定も実施している。
Surface Pro 4に採用しているキーボードは、水を弾く素材を採用しており、それに向けた表面加工はここで評価している。Surface Pro 4では、水を弾く素材を採用しながら、触り心地を損なわないものを採用。さらに、長年使用した際の素材への疲弊の影響なども評価しているという。
「オーディオラボ」
オーディオラボでは、5m四方の無響音室を設置するなど、16個のチャンバーを用いてSurfaceから発生する音を検証・評価したり、Skypeを屋外で利用する際に、マイクがしっかりと音を拾うか、スピーカーから音がしっかりと聞こえるかといったことを検証している。
マイナス23dbという宇宙空間レベルの静かな環境まで実現できる無響音室は、ギネスに登録されるほどの性能を発揮。外のノイズが入り込まないように、部屋の周囲はコンクリートで固め、さらに、壁の構造は他の部屋とは独立したものにしているという。また、マイクやスピーカーの実験時に発生させる騒音については、独自のアルゴリズムをもとにして再現。様々な利用シーンを想定した検証ができる。
「ビデオラボ」
一方、ビデオラボは、Surfaceに内蔵されたカメラで撮影した映像を最適な色にするためのチューニングを行なう施設で、LEDやハロゲンライトによる照明を使用することで、屋外で撮影するのと同じシーンを再現。照度や色温度を変えることで、日中や朝方を再現した実験ができる設備を持っている。
レドモンドは雨が多いため、屋外の様子を再現する施設は、不可欠だといえる。
「プロトタイピングラボ」
これらの各種ラボによって、仕様が決定すると、プロトタイピングラボで試作が行なわれる。
プロトタイピングラボには、大型3Dプリンターが用意され、Surfaceであれば、約6~8時間でモックアップを作ることができるという。また、キーボードに使用される素材も、同ラボに設置されているレーザーカッターを使って実際に試作され、これによって手で持った場合にはどんな感じなのかといったことを確認できる。
プロトタイプを制作するために、切削加工などを行なう機器を25台も配備しているおり、この規模は、他社にはないものだといっていいだろう。
そして、プロトタイピングラボでは、量産時の初期生産分の500台を対象にした検証も行なっているという。
「ヒューマンファクタリングラボ」
ユニークな施設がヒューマンファクタリングラボである。
ここでは、人の頭や腕などをスキャンしてデジタルデータ化。それをもとにモックアップを作り、HoloLensやMicrosoft Bandなどを、多くの人が快適に装着できる形状を研究している。
また、筋肉の収縮がわかるセンサーを取り付けて、キーボードやマウスの操作時の筋肉への負担、緊張度や疲労度なども検証。最適な形状のキーボードやマウスの設計につなげているほか、Xboxをプレイする際に、ソファに寝転がりながらコントローラを操作する際の影響、Surfaceを長時間立ったままで利用する際の影響についても研究。これも最適な形状を導き出すことに役立てている。
このようにマイクロソフトブランドのハードウェア製品は、様々な研究成果や検証結果をもとにして、開発されている。ハードウェアラボは、ハードウェアメーカーとしてのマイクロソフトのこだわりを感じることができる施設だといえるのだ。
この連載の記事
-
第215回
PC
「クリエイティブ」に向かうWindows 10とSurfaceファミリー -
第214回
PC
日本企業の変革を象徴、世界最大規模の「Office 365」大型導入 -
第213回
PC
資生堂、オンライン会議中の顔を美しく見せる「Tele Beauty」を開発 -
第212回
PC
女子高生AI“りんな”は母親思いのカープ女子!? 自分の子供より返事が多いというユーザーも -
第211回
PC
Office 365が3ヵ月無料試用OK、セットアップも支援 - 働き方改革週間締め切りは9月30日 -
第210回
PC
Windows 10企業導入の障害は、WaaS(Windows as a Service)と180日ルール -
第209回
PC
アクア、DMG森精機 - IoTの協業発表が相次ぐ日本マイクロソフト -
第208回
PC
MS SQL Server 2016は、オラクルの牙城をいかに崩すか、PostgreSQLにどう対抗していくのか -
第207回
PC
起死回生の製品になるか? 「Microsoft Dynamics 365」 -
第206回
PC
2096名で挑む大規模ライフハック! - 日本マイクロソフトが掲げる”本来”のテレワーク -
第205回
PC
日本MSが開催イベント名称・内容を再編 - グローバルイベントとの名称統合を実現してほしい - この連載の一覧へ