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マイクロソフト・トゥディ 第187回

撮影禁止の「マイクロソフトのエリア51」 を取材- ハードウェアビジネスを支える「ハードウェアラボ」

2016年04月07日 10時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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「マテリアルサイエンスラボ」

 さらに、アプライドサイエンスラボでは、マテリアルサイエンスラボと連携しながら、Surfaceのキーボードの素材の評価、選定も実施している。

 Surface Pro 4に採用しているキーボードは、水を弾く素材を採用しており、それに向けた表面加工はここで評価している。Surface Pro 4では、水を弾く素材を採用しながら、触り心地を損なわないものを採用。さらに、長年使用した際の素材への疲弊の影響なども評価しているという。

「オーディオラボ」

 オーディオラボでは、5m四方の無響音室を設置するなど、16個のチャンバーを用いてSurfaceから発生する音を検証・評価したり、Skypeを屋外で利用する際に、マイクがしっかりと音を拾うか、スピーカーから音がしっかりと聞こえるかといったことを検証している。

 マイナス23dbという宇宙空間レベルの静かな環境まで実現できる無響音室は、ギネスに登録されるほどの性能を発揮。外のノイズが入り込まないように、部屋の周囲はコンクリートで固め、さらに、壁の構造は他の部屋とは独立したものにしているという。また、マイクやスピーカーの実験時に発生させる騒音については、独自のアルゴリズムをもとにして再現。様々な利用シーンを想定した検証ができる。

「ビデオラボ」

 一方、ビデオラボは、Surfaceに内蔵されたカメラで撮影した映像を最適な色にするためのチューニングを行なう施設で、LEDやハロゲンライトによる照明を使用することで、屋外で撮影するのと同じシーンを再現。照度や色温度を変えることで、日中や朝方を再現した実験ができる設備を持っている。

 レドモンドは雨が多いため、屋外の様子を再現する施設は、不可欠だといえる。

「プロトタイピングラボ」

 これらの各種ラボによって、仕様が決定すると、プロトタイピングラボで試作が行なわれる。

 プロトタイピングラボには、大型3Dプリンターが用意され、Surfaceであれば、約6~8時間でモックアップを作ることができるという。また、キーボードに使用される素材も、同ラボに設置されているレーザーカッターを使って実際に試作され、これによって手で持った場合にはどんな感じなのかといったことを確認できる。

 プロトタイプを制作するために、切削加工などを行なう機器を25台も配備しているおり、この規模は、他社にはないものだといっていいだろう。

 そして、プロトタイピングラボでは、量産時の初期生産分の500台を対象にした検証も行なっているという。

「ヒューマンファクタリングラボ」

 ユニークな施設がヒューマンファクタリングラボである。

 ここでは、人の頭や腕などをスキャンしてデジタルデータ化。それをもとにモックアップを作り、HoloLensやMicrosoft Bandなどを、多くの人が快適に装着できる形状を研究している。

 また、筋肉の収縮がわかるセンサーを取り付けて、キーボードやマウスの操作時の筋肉への負担、緊張度や疲労度なども検証。最適な形状のキーボードやマウスの設計につなげているほか、Xboxをプレイする際に、ソファに寝転がりながらコントローラを操作する際の影響、Surfaceを長時間立ったままで利用する際の影響についても研究。これも最適な形状を導き出すことに役立てている。

 このようにマイクロソフトブランドのハードウェア製品は、様々な研究成果や検証結果をもとにして、開発されている。ハードウェアラボは、ハードウェアメーカーとしてのマイクロソフトのこだわりを感じることができる施設だといえるのだ。


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