PCゲームのダウンロード販売サイト『Steam』から、面白いゲームを発掘して紹介するレビュー連載。第21回目は、1プレイ30分前後の短いプレイ時間で歯ごたえのある勝負が楽しめるボードゲーム『Armello(アルメロ)』を紹介する。
Armelloは、絵本の世界から飛び出してきたような動物たちが暮らす王国で、突如として王が“穢れ(けがれ)”に取りつかれて乱心したため、王の代わりとなるべくそれぞれの部族の英雄がアルメロ王国の玉座をめぐって争うゲームだ。
本作はマルチプレイにも対応しており、最大4人のプレイヤーでガッツリとした対戦が楽しめる。もちろんCPUを相手にシングルプレイも遊べるようになってるぞ。
安心の日本語対応
「海外製ボードゲーム」と聞くと日本語に対応しているか不安になるかもしれないが、安心して欲しい。本作は公式に日本語に対応している。
さらにチュートリアルも用意されているため、「UIは日本語だけど細かいルールは英語でサッパリ分からん」といったような悲しい事態も回避できる。
筆者はチュートリアルをクリアしただけではあんまりゲームを理解していなかったが、数回プレイするうちに飲み込めたのでルールそのものも覚えやすいと思うぞ(たぶん)。
4種類の勝利条件を目指せ
1.名誉による勝利
王が穢れの侵食により死亡した時点で、4人の英雄のなかで一番“名誉”のステータスが高いものが王となる勝利方法。この勝ち方がいちばんラク。
2.王殺しによる勝利
宮殿に侵入してバトルで王を倒し、かつ自分自身が生き残ればこの勝利となる。
後述するがArmelloのバトルではダメージ計算が同時に行なわれるため、たとえ相手を倒しても自分も同士討ちとなる場合がある。もしも自分も倒れてしまった場合は、「1.名誉の勝利」に条理条件の判定が自動的に移行する。
なお、王とのバトル前に名誉がいちばん高い状況であっても、王に戦いを挑んだ時点で名誉が失われてしまうため負けた場合は自分の勝利とはならない。
3.精霊石の勝利
一定ターンごとにボード上にランダムにポップする精霊石を4つ集めて宮殿に侵入し、王をクリックすれば穢れを浄化しての勝利となる。
ちなみに「穢れを浄化」とあるものの、クリックした瞬間に王は爆発してしまうため「浄化して助ける」というよりは「浄化して倒す」イメージだった(「やったー! これで初の平和勝利だー!」と思って喜んで王をクリックしたら爆発してビックリした筆者談)。
4.穢れの勝利
王よりも穢れの多い状態で宮殿に侵入し、バトルで王を倒してかつ自分自身も生き残る勝利方法。この勝ち方はかなり難しいと思われる。筆者はいまだ成功したことがない。
ゲームはターン&アクションポイント制
Armelloではヘクスタイル(六角形)で構成されたボード上を、プレイヤー(4人)、王、近衛兵、ベイン(穢れが生み出した魔物)が、それぞれターン制で進行していく。また、1ターンごとに昼と夜が入れ替わるようになっており、ゲームは合計18ターン以内に決着がつくようになっている。
各ターンでプレイヤー(およびキャラクター)は、アクションポイント(AP)を消費して行動する。APは移動時に消費するものであり、平地や森、集落などでは1ポイントを消費し、山岳では2ポイントを消費する。各キャラクターは基本的にターンごとに3ポイントを所有しているため、1ターンで3マス動ける計算だ。
移動した先のタイルにほかのキャラクターがいた場合は、そのままバトルへと突入するぞ(バトルそのものではAPを消費しない)。
バトルの運命はサイコロが握る!
バトルでは、キャラクターの戦闘力と同じ数のサイコロを振って出た目で攻撃力と防御力が決まり、その数値の差し引きによってダメージが同時に計算される。つまり、どちらも大ダメージを受ける場合は両者相打ちとなる。
また、肝心のサイコロの数はキャラクターの戦闘力や装備しているアイテムで変わるため、ときにはどうあがいても勝てないというバトルも存在する。
そういうときに役立つのが、カードである。
カードで不利をくつがえせ!
カードにはアイテム、仲間、呪文、計略の4種類があり、アイテムや仲間はコインと引き換えに装備してバトルを有利に進められる。呪文は魔力を消費して一時的に自分を強化したり相手にダメージを与えたりできる。計略はコインを消費してタイルにトラップの設置ができるようになる。
要するにカードの使用にはそれぞれコストが必要であり、それがコイン依存かキャラクターの魔力依存かという仕組みだ。
アイテムカードや仲間カードを揃えればバトルを有利に運べるものの、欲張ればコインの確保に悩むことになるだろう。一方で魔力は毎ターン回復するものの、自分の精神力以上の魔力を持つことはできないため、キャラクターの精神力が低いと呪文があっても使えないといった欠点をもつ。
キャラクターはそれぞれステータスが異なるため、自分のプレイスタイルにあったキャラクターを選ぶと良いだろう。初期プレイでオススメなのはオオカミの“セイン”と、ウサギの“アンバー”だ。
この2人は戦闘力が高いため、ほかのキャラクターを倒して名誉を得ることがカンタンなのだ。また、戦闘が強いキャラクターほど集落(街)を支配してコインを確保しやすいため、アイテムでさらに戦闘力を高めていくといったサイクルが組みやすいぞ。
まあハッキリ言ってしまえば「戦闘力を上げて物理で殴る」のが序盤は一番強いのだ。だからまずはこれでゲームのルールを覚えよう。
プレイヤーの邪魔をする王
もちろんそれは穢れに取りつかれているせいなのだが、結果としてプレイヤーはほかの英雄や魔物と同時に宮殿にこもっている王とも間接的に戦わなければならない。次にどんな宣言が出されるかは分からないため、かなり作戦を狂わされることもあるだろう。
さらにゲーム終盤になればどのキャラクターも名誉、王殺し、精霊石の3つの勝利条件のいずれかを達成できる状況にあるため、最後まで気を抜くことができない。このランダム性と緊張感が、短いながらも濃密なプレイを作り上げている。
「ボードゲームに興味があるけどよく分からない」、「好きだけど1プレイに時間がかかるからちょっと」と敬遠している人は、ぜひこのArmelloをプレイして欲しい。きっと気に入ることだろう。
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ユニットコム『LEVEL∞ Lev-15FH057-i3-LE』
『Armello』は推奨システム要件はDirectX 11対応でVRM 1GBメモリーのGPUとなっている。 ユニットコムのゲーミングPCブランド『LEVEL∞ (レベル インフィニティ)』には、ゲーミングノートPC『Lev-15FH057-i3-LE』(9万9800円+税)<もある。VRAM 2GBのGTX950Mを搭載するので、Armelloも十分プレイ可能だ。
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『Armello』
●League of Geeks
●1980円(2015年9月2日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows、Mac
ジャンル アドベンチャー、独立系開発会社、RPG、ストラテジー
(C)2012 League of Geeks Pty Ltd. All Rights Reserved
■著者:篠原修司
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: KiDD
・Twitter:@digimaga
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