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「一緒にアニメ見てくれるロボットを」アキバでこっそり開発『Gatebox』

2016年02月15日 17時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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横でゴロゴロしてほしい

── そこから「Gatebox」にいたるまでの経緯を教えてください。

まず、ぼくは家でひきこもるのが好きなんですね。

── はい。

それでスマートホームについて考えていたんですが、今スマートホームの潮流は、自動的に何かをやるとか、ロボットが何かをやるという世界観。それに違和感があったんです。ぜんぶ自動でやられるのは怖いし、ロボットにしても、すべての家に量産型のロボットがいるというのは怖い。それよりも自分の好きなキャラがお世話してくれるほうがいいんじゃないかと考えて。

── 好きなキャラというと。

ぼくの場合は初音ミクでした。ミクさんが「おかえり」と言ってくれる、それこそが「完全なスマートホーム」だろうと。

── なるほど。家庭用ロボットとして、どんな用途を想定しているんですか?

ぼくもそうですが、便利機能というよりは横でゴロゴロしてほしいと。家でアニメを見てるとき、横でアニメを見てくれる存在であってほしくて。

── 一緒にアニメを見てくれるロボット。

隣でコーヒー飲んでてくれるとか、こっちが笑ったとき一緒に笑ってくれるとか。ツイッター読み込むこともできるし、番組情報なんかもとってこられますしね。

── 一緒に「バルス」できるわけですか。

できるようにしたいです。そのときは家庭あたりの発言量が2倍になりますね。

すでにテレビをつける機能は持っている

── 100%市場にない製品です。設計で参考にしたものはありますか?

「サイコパス PSYCO-PASS」だったり、映画「her」から、似ている世界観を探してきました。あとはイラストを描いてもらったり。最初はルンバからホログラムが出てくるイメージだったんですけど、そのうちケース入りになりました。

── 作りはじめたのはハードからですか? それともソフト?

まずはソフトですね。Unityを使い、音声認識でキャラを動せるソフトを4月につくって、5月からはハードをつくれるエンジニアに参画してもらって。

── ハードはどんな設計でやっていたんですか?

最初はフォグスクリーン(霧に映像を出力するスクリーン)を試してました。5000円くらいの加湿器を買ってきて。そのあと現在の原型となるものができて、この方向性でいける気がする、という話になった。その後はハードとしてどういう形に落とし込むか。プロジェクターの部品を何にするか、どういう配置にするかなど、細かいことを決めていきました。

フォグスクリーンの例。霧を使ったプロジェクションマッピング

── 試作機が完成したのは いつごろだったんでしょう。

5月に構想を開始、6~7月に細かい仕様を検討して、8~10月に試作機が完成した形です。あとはいかにかっこよくするか。モノとしては10月に出来ていたんですが、そこから発表に向けた準備を行い、1月に情報公開という形になりました。

── そのあと合計9000万円の資金調達に成功します。

試作機があったので、それを見せて、「これで世界を変えましょう」というところで合意してもらったんです。

── アプローチはARです。いまは市場としてVRに注目が集まっていますが、御社としてはARで「世界を変えていこう」と?

VRもいいんですが、家でヘッドマウントディスプレイをつねにつけてるわけにはいかない。ビジョンとしては筐体もなく、クラゲちゃん(アニメ「PSYCHO-PASS」に登場するCGホログラフィ)のように生活してるところをイメージしてます。いまの技術だとこれが最適解なんじゃないか、というのを世の中に提案していきたいですね。

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