クラウド、ネットワーク、デバイスのエンジニアがいよいよ邂逅する
IoTの異才たちがLT18連発!SORACOMのフライデーナイト
トンネリングとセンサーデータの共有に期待!(ADSJ 荒木靖宏さん)
「ソラコムさん、素晴らしいサービス作ってくれた!」と一声目を上げたADSJの荒木靖宏さんのLTは2部構成で、1つ目は「トンネリングサービスを作ってほしい」という提案だ。
荒木さんがSORACOM Airで作ったのは、「インターネットができないんだけどー」という電話をかけてくる両親のためのラジパイベースのデバイス。トラブル時にタッチパネルを触ると、AWS東京リージョンのt2.microにSSHのトンネルが張られるという。しかし、「(クラウドからデバイスは)Beamの逆方向で、面倒くさい。Blackholeでも名前を付けて、ソラコムさんにぜひやってほしい」と荒木さんは語る。
後半は「イベント駆動型アーキテクチャを実現する共有ストレージサービスを始めるのはどうか」という提案。もともと博士としてモバイル&センサーネットワークを研究してきた荒木さんは、「センサーデータをセンサー屋さんに渡すと全部垂直統合で済ませ、水平分業の話をしない。サービスエリアの問題は解決できたが、せっかくとったデータを共有することをソラコムさんは考えていない。少なくとも今は言ってくれない」と指摘。過去に携わったXDMSを使ったサービスシナリオを披露しつつ、マッシュアップや水平統合のためのセンサーデータ共有サービスに期待を示した。
SORACOMでVoIPを試す(エイビット 椚座淳介さん)
イエデンワやストラップフォンなど個性的なPHSを作っているメーカーとしておなじみエイビットの椚座淳介さん。仕事の内容をOSI参照モデルの物理層に近いレイヤーと位置づけ、上位レイヤーの人たちと溝があると指摘する。しかし、最終的な製品やサービスは物理からアプリまでちゃんと作る必要があるので、SORACOMはその溝を埋める“かすがい”になるのではという期待を披露した。
そんな椚座さんは「SORACOMでVoIP」にチャレンジ。Android端末をSORACOM Airでインターネットにつなぎ、端末と自宅のヤマハルーター間でIPsec VPNを構築。構築したトンネル内にVoIPを通し、自宅内のAsteriskサーバーを介して、SIP電話で通話するというものだ。オーバーヘッド込みで通話には最低100kbpsは必要とのことで、SORACOM Airでは128kbpsのs1.smallを選択した。100kbpsのストリームを128kbpsの回線に通すというチャレンジだったが、結果として、通話はまったく問題なく、自動車や電車の移動でもほとんど切れなかったという。
この背景には額面通り速度が出るSORACOMの実力とLTEの伝送遅延の低さ、ハンドオーバー性能の高さがあるのではと椚座さんは指摘。最後に高トラフィックエリアである渋谷のイベント会場で自宅にいる奥様と通話。3分2円という低廉な通話料金をアピールし、LTを締めた。
SORACOMを活用したGPS Loggerを作った(はてな 田中慎司さん)
最近車を買ったというはてなCTOの田中慎司さんは、SORACOMとラズパイを組み合わせたGPS Loggerを披露した。「仕事上は純粋にインターネットだけの世界ですが、SORACOMは完全に趣味の世界。モバイルと言えばGPSなので、GPS Loggerを試してみた」(田中さん)。
過去にはガーミンやiPhoneなどでGPSログを収集していたが、データ分析ではなく、ただログをとり続けたいというのが田中さんの用途。とり続けるという点でスマートフォンでは限界があったのと、個人間で車を貸し借りする場合に位置情報の取得は有益そうだということで、SORACOMによるGPS Logger作成にチャレンジしたという。
具体的には、初期コスト2万円程度でラズパイ、3Gモデム、GPS、モバイルバッテリを用意。「8行くらいのnodeのコマンドを書くと、GPSモジュールからデータを持ってこられるので、ひたすら車の位置情報がアップロードされる」と田中さんは解説。今後はサーバーサイドを真面目に作り、ライフログ・盗難防止、車のスピード、燃費情報と連携させたいと語る。
謎の「Silk」の正体とは?(マイニングブラウニー 得上竜一さん)
「Silk」というタイトルだけ披露されたクラウド芸人マイニングブラウニー得上竜一さん。意味ありげにWikipediaの「シルク」の意味を説明しつつ、行き着いたのはAmazonのタブレット「Kindle Fire」の専用ブラウザ「Silk」だ。
Silkが採用する「Amazon Silk Sprit Browser Architecture」では、クラウド側が圧縮などの処理を受け持つことで端末の処理負荷を軽減している。また、機械学習で次に読み込まれるページを先読みするという。SORACOMは最終的にAWSの帯域に依存するため、“Silkっぽい”のを擬似的に作り、軽量なブラウジングを実現しようというのが、得上さんの野望だ。
では、“Silkっぽいの”を作るにはどうするか? まずコンテンツの圧縮として、CSS、JS、imgはすべて404を返すという荒技を採用。これにより転送量の8割近くを削減できるという。そして、Machine Learningっぽい構文解析で、コンテンツは必要なもの以外、すべて削除。さらにタグは一部のみ残し、転送量をさらに半分に減らす。これにより、TechCrunchのソラコム記事は、なんと99.6%も削減できたという。
会場を沸かせた得上さんは、12月に現れるというソラコムサンタに正規表現を実装し、プロキシを作りやすくしてほしいとリクエストし、壇を下りた。
(次ページ、最強のSORACOM Beam検証環境とは?(クラスメソッド 大瀧隆太さん))
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