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総額24億円の資金調達でサービスはますます加速する

ソラコムはスピーディなグローバル展開に必要な資金を得た

2016年05月11日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月11日、IoT向けの通信サービス「SORACOM」を提供するソラコムは、World Innovation Lab(WiL)、Infinity Venture Partnersなどから総額24億円にのぼる資金を調達したことを発表した。ソラコムの現状や調達した資金の用途についてソラコム代表取締役社長の玉川憲氏に聞いた。

ソラコム代表取締役社長 玉川憲氏

IoTに本腰を入れるユーザーがソラコムを使い始めた

 昨年9月30日のサービス発表以降、国産のIoT通信プラットフォームとして実績を積んできたソラコム。昨年9月30日に発表されたIoT向けの通信サービス「SORACOM Air」やセキュリティ処理をクラウド側にオフロードする「SORACOM Beam」を皮切りに、休む間もなくSORACOM Canal、Direct、Endorse、Funnelなど続々と新サービスを投入してきた。

 2016年4月末時点でのユーザー数は2000を超え、「SORACOM Partner Space(SPS)」と呼ばれるパートナーも150社にのぼっている。サービス開始当初は新規事業開発やスタートアップなどが2~3ヶ月でプロトタイプを立ち上げるという用途が多かったが、最近では6~8ヶ月というセールスサイクルが長めの案件が増えているとのこと。国内の企業がIoTに本腰を入れ始めた証拠と言えるかも知れない。

 こうした中、ソラコムならではのユニークな事例も次々生まれている。ソラコム代表取締役社長 玉川憲氏は、「楽天Edyの決済端末として利用してもらった事例では、試合の時だけ従量課金で使える点が評価されました。シャープの自転車向け位置検索サービス『スマココ』や、東海クラリオンの通信サービス付きドライブレコーダー、日本カルミックの衛生設備機器のセンシングデータ収集にも採用していただきました」と最近の事例について語る。

 5月11日には3G対応のUSB型通信端末「AK-020」(エイビット製)を4980円(税別)というリーズナブルな価格で提供することも発表された。もちろん、SORACOM Airでの動作検証済み。当面はソラコムのユーザーコンソール経由で販売され、個人のデベロッパーが手軽にSORACOM Airを利用できるという。

SORACOM Airでの動作検証済みのUSB型通信端末「AK-020」(エイビット製)

24億円もの資金調達はなぜ必要だったのか?

 約半年で高い実績を積んできたソラコムだが、このたび24億円にのぼる資金調達に成功し、事業をさらにドライブさせる。2015年2月の創業以来、資金調達金額の総額は31億円にのぼり、業界での高い期待が伺える。

 調達した資金はおもにグローバル展開の原資となる。玉川氏は、「お客様からもSORACOMをグローバルで使いたいという声を多くいただいている。そのため、国内市場で得た原資でじっくり海外を狙うのではなく、資金を調達して、スピーディにグローバル展開することを選んだ」と語る。今年中と明言しているグローバル展開を一気に加速していくのが、資金調達の狙いだ。

 ローカルの事情に大きく左右される通信サービスだけに、グローバル展開においては海外キャリアとの関係構築や現地発でのR&Dは必須と言える。こうなると重要になるのは、優秀な人材の確保だ。「現在は20名程度で、開発やマーケティング、オペレーションなど、とてもいいバランスで人材が集まっているが、今後はキャリアとの関係構築やローカルに根ざしたサービス開発を進められる人材が必要になる。そういったチーム作りにお金をかけることになると思う」と玉川氏は語る。

 これに対して、すでにグローバル展開のリーダーや英語ネイティブの人材もジョインしており、こうした人材面での拡充は一気に加速しそう。玉川氏は「地域の特性やフィードバックを、スマートかつハードに吸い上げられる人材、ソラコムのビジネスカルチャーに共感してくれる人材が必要になってくる」と語る。

 グローバルでの競合に関しては、同等のサービスを展開しているプレイヤーが見あたらないという認識。「たとえば、2月にシスコに買収されたJusper Technologiesは、IoT・M2Mコネクティビティの管理ソリューションをキャリアに提供するというもの。クラウドのパワーを引き出すようなSORACOM BeamやCanalのようなサービスは今のところない」と玉川氏は語る。

 テクニカルな観点では、SORACOMが載るAWSが展開している国であれば、どこでもサービスの提供は可能だ。また、サービス自体もグローバルでの共通基盤を意識して作られているため、障壁はないという。「ギリギリまで隠しておいて、一気に公開するのがカルチャー(笑)」(玉川氏)ということで、グローバル展開の詳細については今後のお楽しみだ。

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