Surface Bookの狙いをテリー・マイヤーソン氏に直撃
では、Surface Bookには、どんな狙いがあるのだろうか。
このほど来日したテリー・マイヤーソン氏に直撃してみると、「高性能のパワーを実現した究極のラップトップであり、それでいて、OEMベンダーの製品を補完するものになる。これまで以上にWindowsの市場を広げられる製品」だと位置づける。
こうした基本的な考え方は、マイクロソフトがこれまでに投入してきたSurfaceシリーズと共通するものである。
「マイクロソフトが過去に投入してきたハードウェアは、多くのユーザーからの声を聞き、どんな領域の製品が欲しいのかという要望に対応して製品化したもの。Surface Bookも同様の位置づけで製品化したものになる」とする。
Surface Bookで目指したのは、GPUを搭載し、高い性能を備えた究極のラップトップ。液晶ディスプレー部分を取り外したり、折り畳んでタブレットとしても利用できるのも特徴だ。
「GPUを搭載し、さらにディスプレーの取り外しが可能なデザインを採用したラップトップはほかにもある。だが、それらの製品は1500ドル以上の価格となる。また、1500ドル以上のラップトップは、全体の1%にしか満たない構成比にとどまる。Surface Bookは、これだけの機能を実現しながら1499ドルからという価格帯を実現している。これまでにはない製品になる」と語る。
「MacBook Proしか選択肢がなかった市場に、
Surface Bookが究極のラップトップとして存在する」
そして、この分野における強力なライバルが、「MacBook Pro」ということになる。
テリー・マイヤーソン氏は、「Surface Bookは、MacBook Proと競合させるために開発した製品ではない。だが、MacBook Proと競合する製品になるのは明らか」と微妙な言い回しをしながら、「これまでMacBook Proしか選択肢がなかった市場に、Surface Bookが究極のラップトップとして存在することになる。これによって、Windows 10の世界を広げることができると考えている」とする。
「Book」という名称をつけてきたことも、MacBook Proを強く意識していることがうかがえる。
既存のWindowsデバイスとは競合せずに、MacBook Proと競合するのが、Surface Book。だからこそ、OEMベンダーから発売するWindowsデバイスを補完するというわけだ。
Surface Bookのような製品が加わることで、Windows 10搭載デバイスの選択肢が広がるのは明らかである。
とはいえ、OEMベンダーが発売するWindows 10デバイスと、完全にぶつからないというわけにはいかないだろう。
Windows 10デバイスは、日本だけでも260機種が発売され、その製品ラインナップの広さは、「プロダクトにおけるダイバーシティを実現している」(マイヤーソン エグゼクティブバイスプレジデント)と表現されるほどだ。
日本マイクロソフトでは、現時点では、発売時期を含めて、具体的なマーケティングプランを公表しているわけではない。しかし、MacBook Proと競合する製品と考えるなら、クリエイターやエンジニア、研究者をはじめ、グラフィックスを多用するユーザーなどが対象になるほか、クラムシェル型のノートPCとして活用したい経営層などを対象にする公算が強い。
Surface Bookによって、Windows市場を拡大するのがマイクロソフトの狙いだが、その思惑通りに行くか。
競合他社からみれば、脅威となる製品が誕生したことは明らかだ。
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