「Office Mobile」 - 日本市場を重視したマーケティング
3つめは、引き続き、日本固有のOffice製品が用意され、グローバルに見ても日本市場を重視したマーケティングが行なわれている点だ。
昨年は、OEMベンダーに提供し、PCにインストールして提供するためのOffice Premiumが日本市場向けに特別に用意された。引き続き今年も、新たに「Office Mobile」と呼ぶ、OEMベンダー向け製品が用意された。
Office Premiumは、10.1型以上のディスプレイを搭載したデバイス向けに提供されるものだが、Office Mobileは10.1型以下のデバイス向けに提供されるものだ。
これまでも、10.1型以下のデバイス向けに搭載可能なOfficeが、グローバルで用意されていたが、そこには商用利用権が付与されていなかった。そのため、ビジネス目的では利用できず、商用利用のためには、Office 365のサブスクリプションの購入が別途必要だった。
新たなOffice Mobileではその点が考慮され、そのまま商用利用が可能となっている。これは日本のユーザーを対象にした特別措置ともいえるもので、日本の市場環境にあわせた形で用意されたものだ。
さらに、グローバルでは10.1型を超えるものと、10.1型以下というところで線を切っているが、日本では10.1型以下と10.1型以上という線引きにしている。微妙な部分ではあるが、これにより、日本で出荷される10.1.型のデバイスでは、OEMベンダーがどちらのOfficeも選択できるという仕組みになっている。
「日本においては、10.1型ディスプレイを搭載したデバイスには、生産性が高いキーボード付きのものが多い。そこで、Office Premiumを10.1型のデバイスにも搭載できるようにした。これは米本社から承諾をとって実現したもの」(日本マイクロソフト アプリケーション&サービスマーケティング本部の中川智景氏)という特別措置だ。
「日本のビジネスマンは、電車で移動することが多く、10.1型のデバイスに対するニーズが高い。こうした日本ならではの環境が、今回の仕組みにつながっている」(平野社長)という点も見逃せない。
「Office 2016」では、初めてパッケージ版が廃止された
今回のOffice 2016では、初めてパッケージ版が廃止されたことが話題になっている。
だが、これはあくまでもパッケージという物理的な「箱」が廃止されたというもの。単に、「箱」がPOSAカードによる提供形態へと変化しただけという言い方が適しているだろう。
従来のOffice 2013のパッケージ版でも、かつてのOfficeのようなインストール用ディスクは存在せず、プロダクトキーを使用して、Officeをダウンロードするという仕組みを採用していた(Mac版にはDVDとガイドが入っていた)。その点でも、ユーザーがOfficeをインストールする上では、従来のパッケージ版と、今回のPOSAカードとはなんら変化がないからだ。
店頭で購入する際などに、箱がないという点で違和感があるかもしれないが、海外ではすでに一般化している。日本もそれに追いついたというわけだ。
「Office 2016」の成否を測る指標
平野社長は、Office 2016の成否を測る指標として、「Office365にしっかりとアクティベートされているかどうかという点、OneDriveを使っていただいているのかという点が、Office 2016において、重要な要素になる。手を変え、品を変え、喜んで使っていただくことに力を注ぎたい」とする。
Office 2016においても、コンサンプション(消費)という、全社で掲げる切り口からの取り組みには変化がないようだ。
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