――マシンの底面なんですけど、F1みたいにぺったりツルツルですね。これは特注ですか?
【森田】 ステンレス製ですね。折り曲げとか穴開けとかを知り合いの加工業者さんにしてもらいました。ここからここまで何センチっていう手書きの設計図を渡して。
――CADというわけではないんですね。
【森田】 工作機にデータをインプットするとき、どのみち業者が専用のCADで処理をするので、中途半端に汎用のCADデータを渡すよりは、手書きのほうがいいみたいです。林さんもよくiPhoneをシールで痛化してますけど、そんな感じじゃないですか?
――そうですね。Illustratorでカット線を入れて、印刷所にもっていくんですけど、専用アプリケーションにデータをインポートすると、ビミョーにカット線のずれる現象があって、だいたい現地でカット線を作ってますね。あとそのまま印刷機のオペレーションもしたり。
【森田】 あれって印刷機のオペもしてたんですか!
――なぜか(笑)。キャラクターモノなので、どしても発色が気になるから、インクの出力値をいじるためにドライバーの設定ファイルを書き直したりとか。ああ、脱線しちゃいましたね!!
【森田】 Mod PCもそんな苦労ばかりですね。シャーシは業者さんに作ってもらったんですけど、電源の配線が大変でした。もともとPCケース向けに各種電源ケーブルの長さが設計されているけど、Mod PCの場合はケーブルを取り回すスペースはないんですよね。
――そこ、気になってました。この電源ケーブルすごく短いですけどカットしてるんですか?
【森田】 そうです。電源ケーブル周りはあんまり考えていなかったんですよ。やってみたら、どうしても取り回せないから、よしカットするか~っと(笑)。結線するときの写真は必須ですね。忘れたときも安心だし、メモが間違っていないかのチェックもできます。
【森田】 使わないケーブルはカットして、24ピンや4ピン、VGAケーブルもちょうどいい長さにカットしています。1本1本カットしては、コネクターに差し戻す作業はキツかったですね。配線間違えたら、一発でダメだから、何度もチェックしたりして。
――やりたくない(笑)。森田さんが現在手掛けているブランドのProject Mで、その手の極短ケーブルセットを出すとウケそうですね。
【森田】 プラグインタイプの電源用とかいいですね。そうでもないタイプでも、カットと再配線のコツを紹介すれば大丈夫かな?
――どうやってコネクターからケーブルを外したんですか?
【森田】 まず買った工具が使えなかったので、ホチキスの芯って買ってくるとまずまとまってるじゃないですか。それを2本2本に分けていくんですね。片方を曲げて、それをピンの両サイドに入れると固定フックが外れるので、それでケーブルを引っ張りだしています。
――DIY感アリアリですね。自作PC向け工具としてあるといいような。
【森田】 需要あるかもしれないから、自作PC用に作ってみるといいかもしれない。
――ビデオカードの接続は延長ケーブルなんですね。これも自作ですか?
【森田】 これは中国で販売されていたので買いました。わりと種類多いんですよ。
――CPUクーラーは、意外にもリテールなんですね。
【森田】 CPUクーラーは背の低いものもあったんですが、インテルのリテールクーラーは円形でケーブルの取り回しもしやすいので、そのままにしました。
――ストレージはあえてSSDなんですかね。M.2ではなくて。
【森田】 M.2だとたしかに楽なんですが、入っているのを見せたかったんですよ。薄いし、スペース的には楽でした。
――製作期間はどれくらいですか?
【森田】 1ヵ月くらいですね。意外と考えたり、パーツを探したりしている時間が多いですね。GT-R PCだと色塗りが大変でしたね。そのスキルがなかったので。
――事故ってありましたか? いっぱいありそうなんですけど。
【森田】 ビデオカードをショートさせちゃったんですよ。煙がもくもくと。なので、このバージョンではアクリルボードとゴムシートを入れています。ビデオカードがひとつお釈迦になりましたね……。細かいエラーはいっぱいですね。トライ&エラーというか(苦笑)。
GR-R PCパーツ構成 | |
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CPU | Intel「Core i7-4790K」(4.00GHz) |
マザーボード | ASUS「H97I-PLUS」(H97チップセット) |
メモリー | DDR3-1600 4GB x2(kingston ローハイト) |
ビデオカード | GIGABYTE「GV-N970IXOC-4GD」(GeForce GTX 970) |
SSD | Intel「SSDSC2BW240A4K5」(240GB) |
電源ユニット | DIRAC「TESLA CUBE SFX」(550W) |
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