またもやスーパーコンピューターの話はしばらくお休みして、諸々の製品ロードマップの更新をお届けしよう。まずはインテルのCPUのアップデートである。
前回のアップデートは3月だったので、5ヵ月ほどあいたが、ずいぶんと変化した。
遅れに遅れたBroadwell-C
まず図の上の方から説明しよう。6月のCOMPUTEXのタイミングで、インテルはBroadwell-Cを発表した。もともとはBroadwell-Kが投入されるはずだったのが、倍率こそアンロックだったのもの、動作周波数が3.3GHz(ターボ時最大3.7GHz)どまりで、その代わりに128MBのeDRAMを搭載したのにはわけがある。
- 当初予定していた高動作周波数品を用意出来そうにない。
- だからといって動作周波数が3.3GHzどまりでは、Devil's Canyonこと「Core i7-4790K」の後継には到底なりえない。
- ただしBroadwellをデスクトップ向けに発売すると公約をしてしまった以上、今更なしにはできない。
- そこで本来はデスクトップ向けには用意されない予定だったeDRAM搭載のBroadwell-RのLGAパッケージをBroadwell-Cとして提供して、お茶を濁すことに決定。
実際、128MBもの膨大な4次キャッシュを搭載したことで、アプリケーションによってはかなり性能の底上げになったうえ、内蔵するGPUの性能が倍増しており、おまけに主にCPUを利用時の消費電力は下がる、といったメリットがあることは、すでにレポートされている通りである。
筆者もBroadwell-Cの評価を行なっており、確かに絶対性能という意味ではDevil's Canyonを上回るケースは少なかったし、オーバークロック耐性もeDRAMが邪魔してかあまり伸びなかった一方、性能/消費電力比の観点では大幅な改善が確認できており、特にMini-ITXなどを使った省スペースPCなどには良い選択肢であろうと思った。
このBroadwell-Cのわずか2ヵ月後となる8月にインテルはSkylake-Sを発表する。当日は深夜販売が実施されたことも記憶に新しい。このSkylake-Sの話は後でするとして、わずか2ヵ月で後継製品がリリースされた結果として、Broadwellの製品ラインは当初の予定から大幅に変更を余儀なくされた。
もちろんこれはSkylakeが前倒し……というよりはBroadwellが後ろにずれまくったせいなのだが、結果としてモバイル向けにはCore M/Core i7/i5/i3に加えてPentium/Celeronにまで展開されたBroadwellコアが、デスクトップ向けには現在のCore i7/i5のみのラインナップとされ、Core i3やPentium/Celeron向けには展開されない公算が非常に高くなっている。
Core i7/i5向けの製品追加に関しても今のところ予定はなく、このまま推移した場合は可哀想な子扱いになってしまいそうだ。ただこのあたりはプラットフォームの推移にも関係してくる話で、もしLGA 1151の普及が予想より遅く、その一方でLGA 1150へのニーズが堅調といった状況になれば、なんらかの製品を後追いで追加する可能性はある。
ただ、より高い動作周波数は考えにくく、例えばeDRAMなしバージョンを追加するか、動作周波数を1~2bin下げるか、あってもそうした動きであろう。
もしもLGA 1151が不発に近く、LGA 1150がむしろ勢いを増すようなことがあれば、モバイル向けとして発売中のBroadwell版Core i3/PentiumをLGAパッケージに切り替えて発売する可能性はあるが、今のところそうした動きは見られていない。
→次のページヘ続く (Kなし型番とモバイル向けSkylakeは9月発売?)
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