ユーザーコミュニティ「kintone Café」活動レポート 第2回
コミュニティ運営の苦労も赤裸々に
kintone×Bluemix対談、エバンジェリストがPaaSの可能性を語る!
2015年08月25日 09時00分更新
各PaaSの第一印象と足りないところ
――ちょっと視点を変えて、それぞれのPaaSに触れた時の第一印象はどうだったのでしょうか?
斎藤:当時PaaSといえば、プログラム実行環境がすぐに手に入るモノでした。kintoneはノンプログラミングでできてしまうので、最初は「PaaS?」という感じでした。
原田:Bluemixはkintoneと比べると、IaaSに近いPaaSで、インフラ領域も見えたりします。ランタイムもnode.js、Java、Pythonなどの言語名が見えて、それらを使って立ち上げればすぐに動かせる。そのため、自由にアプリをカスタマイズしたいというニーズに合致すると思いました。
周辺機能がそろっているのも特長です。GitやWeb開発画面、デプロイ機能などがあり、APIもそろっている。色んな発想で、まずは作ってみようとトライ&エラーしやすいところが好印象でした。
斎藤:ちなみに、Bluemixはどこまでできるものなのですか? 一夜漬けで調べましたがスゴイですよね。kintoneからも使ってみたいAPIがたくさんあって。Watsonとか。
原田:(Watsonとkintoneの連携は)いいですね。私も「はじめてのkintoneガイドブック」を見て、「あーこんなことができるんだな」と思いました。UIをドラッグ&ドロップで作れるところが、Force.comに近いイメージかな。
斎藤:kintoneでは、できるだけ簡単にして割り切るところは割り切っているので、辛いところもあります。ガチの開発になってくると、複雑なリレーションができなかったり。まあ、そういう時は無理してkintoneでやる必要はないのですが。
原田:kintoneはやれることにある程度焦点を当てているので、完成度が高いイメージです。逆にBluemixはやれることが多すぎて、広く浅くではありませんが、細かい完成度を見るとまだまだと思うことがあります。
斎藤:「サイボウズ Office」は機能も分かりやすいじゃないですか。それに比べると、kintoneですら説明しづらかったりするので、Bluemixは尚更じゃないかな(笑)。
――Bluemixは、コンテナ対応なども発表されましたしね。
原田:そうですね。仮想マシンも作れるので、一言でPaaSと言えなくなっちゃうなと(笑)。
斎藤:ちなみにBluemixを使う人って、技術的にはどの位のレベルの人ですか? 少なくとも、kintoneでパッと作るような規模ではなく、かなり大規模な気がするのですが。
原田:海外では大規模な事例も出てきていますが、国内だと今はスタートアップが多いと思います。IBMでもスタートアップ支援(IBM BlueHub)をやっていたりするので、そこからBluemixでアプリを作ろうという人たちとか。
斎藤:Webサービスを作ろうという人たちですかね。
原田:はい。あとはAWSを触っていた人が、Bluemixも触ってみようとか。まだ、大企業の事例は少ない気がします。
斎藤:そういう意味だと、IBMも敷居が下がっているんですね。
――逆にそれぞれのPaaSで足りないところは?
斎藤:7月のバージョンアップで大分良くなりましたが、開発者向けの機能――特にデプロイ系が弱かった。もうちょっと、こう、JavascriptもWeb上で書けてすぐに動かせるような環境が欲しかったり。それはお好みのツールでどうぞという向きもあるのでしょうが、kintoneくらい製品っぽくなっていると、気軽にJavascriptを試したい人には、一体化していてもいいと思う。
あとは何でしょうね。そこはもうね、いくらでもこうしたいというのは出てくるのですが、そうすると製品コンセプトに逆行してしまう。「Excelのように簡単に」が狙いだったりするので。
原田:Bluemixで一番は、東京リージョンがまだないこと。日本のお客さまはそこを気にする方が多いので。あとは、Bluemix自体生後まだ1年なのでメンテナンスが多い(笑)。実際にデプロイが1時間できなくなったりもしました。まだ欧米の時間をベースにしているので、日本時間で扱えるようになるといいですね。
エコシステムという共通点
――両方に共通しているのは、APIやエコシステムの拡充だと思いますが、横展開についてはどう評価していますか?
斎藤:kintoneはExcelができれば使えちゃうので、開発者だけでなく一般ユーザーも含め、潜在的な利用者数は多いと思います。その上でカスタマイズの余地があり、基本機能だけは物足りないユーザーを支援する、僕たちのような地域密着の小規模SIerが全国にいる。サイボウズもあくまで基盤を提供するというスタンスで、機能をゴリゴリ入れずに、我々のような事業者に余地を残してくれています。
原田:私が最初にBluemixに触って驚いたのは、DB2以外にMySQLやPostgreSQLにも対応していたことです。「オープンソースDBも取り入れたんだ!」というところが一番印象的でした。自社製品を持つIBMがそこに踏み込んだことに、「これなら使えるサービスになるだろう」と実感しましたね。
IBM以外の技術が加われば、今までIBMに触れたことのない人とも交流できる。先日、IBMがDB as a ServiceのComposeを買収して、MongoDBの系譜も加わりましたが、その辺りのエンジニアも混ざって勉強会ができたら、面白いなと思います。
――APIでいうと、kintoneはPepper、BluemixはWatsonの組み合わせが面白くて。
斎藤:Pepperのようなロボットは流行りで受けがいいですよね。クラウド同士だけでなく、IoTとも柔軟につながるのはとても可能性を感じます。IoT事例はすでにあるので、今後さらにアイデアが出てくるのではと。
――Watsonは今まさに日本語を勉強中ですが、こちらも期待は大きい?
原田:大きいですね! ユーザー会でも興味を持っている人が多くて、他ではできないことができる、それを気軽にAPIから触れるのが強力だなあと。
――実際、Watsonの事例はどうなんでしょうか?
原田:Watsonにはいくつか種類があって。Excelライクな「Watson Analytics」、クイズ王に勝った本家の「コグニティブ・コンピューティング」、それからBluemixのAPI群としてのWatsonがあります。本家のコグニティブでは、銀行やコールセンターで使われ始めています。あとは大学で「Watson Explorer」といって論文を探す用途に使われていたり。
――Watsonは本当に夢が広がります。
斎藤:面白そうですよね。kintoneと連携とかね。
原田:一度、kintone Caféに遊びに行くのも面白そうです。
(→次ページ、定額制SIやアジャイルで変わる世界)
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