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ユーザーコミュニティ「kintone Café」活動レポート 第4回

全国に展開するユーザーコミュニティのお祭り「kintone Café JAPAN 2016」開催

“創始者”にも未来はわからない?「kintone Café」3周年

2016年11月14日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 サイボウズ「kintone」ユーザーが、各地で自主的に開催している勉強会「kintone Café(キントーン カフェ)」。11月11日、その各支部間の交流を図る年に一度の“お祭り”イベント「kintone Café JAPAN 2016」が東京で開催された。

「kintone Café JAPAN 2016」の会場となった東京・日本橋のサイボウズオフィス

ユーザー事例や開発テクニックを伝えるセッションのほか、kintone女子会による“から騒ぎ”トーク、kintone×人工知能のハンズオンまで、多彩な催しが

 kintone Caféは、全国のkintoneユーザーがそれぞれの地元で自主的に集い、開催している勉強会。2013年に札幌で開催された第1回を皮切りに、徐々にその裾野を広げ、これまで27都道府県、さらに海外2カ所(韓国、米国)で、合計100回以上が開催されている。今回は、全国からkintoneユーザー/エンジニアが集まる「Cybozu Days 2016 Tokyo」(11月9~10日)の翌日というタイミングで、全国版のkintone Café JAPANが企画された。

kintone Caféの開催実績。11月29日までの開催予定を含めるとこれまで111回開催されている

 基調講演には、第1回のkintone Caféを開催した“創始者”であるラジカルブリッジの斎藤栄氏が札幌から駆けつけ、第1回からの3年間を振り返るとともに、あらためてkintone Caféの理念とは何か、これからkintone Caféはどう発展していくのかを語った。

ラジカルブリッジ 代表の斎藤栄氏。Cybozuエバンジェリストでもあり、今年9月からは、個人教室向け管理サービスを提供するリトルヘルプのCTO 兼 宴会部長も務める

「とにかくみんなにkintoneを知ってほしい」と勝手に始めたkintone Café

 2013年、斎藤氏が札幌でkintone Caféを立ち上げた経緯は、実はASCII.jpの記事でも二度、取り上げている。

 NTTデータ、データクラフトを経て独立し、自称“クラウドおじさん”としてSIベンダーのラジカルブリッジを立ち上げたばかりの斎藤氏は、顧客である中小企業の要件にうまくマッチするクラウドサービスがないことに悩んでいた。SaaSでは要件を十分に満たせないが、IaaSやPaaSではかなりの開発工数とコストがかかってしまう……。そんなときに斎藤氏が「発見した」のがkintoneだった。2013年2月のことである。

 「これまでプログラムをゴリゴリ書かなければできなかったアプリが、kintoneではドラッグ&ドロップでできてしまう。あと、これまでのシステム開発は何百万円、何千万円かかる世界で、小さな企業や個人事業主には無理(手の届かないもの)だったが、kintoneならできる。これは素晴らしいな、と。非常にワクワク感があった」(斎藤氏)

 その後、kintoneがJavaScript APIを実装した(2013年7月)ことで、kintoneベースのシステム構築代行サービスをビジネスとして展開できる可能性も見えてきた。だが、当時はまだkintoneそのものの認知度があまりに低く、斎藤氏がひとりで営業回りをしても、ビジネス化できるかどうかは未知数だった。

 「とにかくみんなにkintoneを知ってほしい。それならば周囲を巻き込んでみよう」と2013年12月、斎藤氏が札幌で「勝手に」開催した勉強会が、kintone Caféだった。このときの参加者は、斎藤氏を含めて7名だったという。

2013年12月、第1回のkintone Caféが開催された

フラットなかたちでお互いに教え合う、ユーザー主導のコミュニティ

kintone Café、3年間の簡単な歴史。ちなみに開催回数は、2013年が1回、2014年が23回、2015年が41回、2016年が46回と増えてきた

 以後、サイボウズからの支援や各地区での開催呼びかけ、支部化、運営事務局発足、公式サイト公開といった動きを経て、kintone Caféは全国へと急速に拡大していくことになるのだが、急拡大の背景にはkintone Caféが掲げる「理念」がある。

 「(簡単に言えば)参加者が非常にフラットなかたちで、お互いに教え合おうよ、というもの。この理念に共感してくれる人でさえあれば、各地でやりたい人が(kintone Caféを)やっていいと、そういうスキームにした」(斎藤氏)

kintone Caféの掲げる「理念」。あくまでもフラットなかたちで、お互いに教え合う勉強会コミュニティを目指す

 この理念に基づき、あくまでも(サイボウズではなく)ユーザーが主体となったコミュニティとして、ビジネス目的ではなく参加者がお互いフラットに活用事例やテクニックを教え合い、懇親会で仲間が増えるような、そうした場としてkintone Caféは成長を続けている。

 「自分もkintoneのビジネスをやっているが、kintone Caféはビジネスと一線を画した存在にしたかった。ビジネスのことよりもkintoneを広めたいという思いが強く、ふつうに企業セミナーっぽくやったら広がらない、小さくまとまってしまうと考えた」(斎藤氏)

 その結果、この3年間でkintoneの認知度はかなり高まった。kintoneエコシステムの一部として、kintone Caféもそれに貢献できたのではないかと斎藤氏は考える。

kintone Caféは、メーカーであるサイボウズやその他のビジネス主体とは独立した存在としてエコシステムを構成する。斎藤氏は「圧力団体」とも

「多様性」を重視し、自由に変化していくことで「継続性」を持たせる

 斎藤氏は、これまでkintone Caféの運営で意識してきたことは「多様性」と「継続性」だと語った。

 多様性を確保するために、“全国統一ルール”のようなものは極力定めず、各地域の特性や雰囲気に合わせて自由にアレンジしてよいことにしている。また、コミュニティに継続性を持たせるために、特定の人に権限が集中するような仕組みは避けている。たとえば各支部にはコミュニティリーダーがいるが、それは1人でなくてもよいという。

 「最近は『同好会のようなもの』と言っている。kintoneが好きだからやってるんだし、みんなビジネスではなく“共感”で動いている。とにかく楽しんでやることが大切だと思う」(斎藤氏)

 ではこれから、kintone Caféという勉強会コミュニティはどう成長していくのだろうか。それは斎藤氏にも「わからない」という。前述のとおり、各支部が自由に考え、変化していくことができる仕組みを取っており、そうした自由さや熱意に裏付けられた活動は今後も歓迎する方針だ。

 斎藤氏は「唯一生き残るのは、(最も強い者でも、最も賢い者でもなく)変化できる者である」という格言を引用し、「マンネリ化」によるコミュニティの衰退を避けるためにも、kintone Caféはスキームの変化を恐れずに活動していきたいと語る。

 まとめとして斎藤氏は、個人的な思いとして「47都道府県すべてに支部ができたらいいな」「kintoneの世界展開に合わせ、kintone Caféも世界に展開していけたらいいな」といった期待を挙げつつ、「とにかく、みんなでkintone Caféというコミュニティを作り上げていきましょう」と参加者に呼びかけ、講演を締めくくった。

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