安くて新曲も聴けるラジオ型サービス
海外のサービスには有料プランのほかに、広告が入る無料プランがある。いわゆる「フリーミアムモデル」と呼ばれているもので、海外で定額配信サービスが脚光を浴びたのは、この広告モデルのおかげとも言える。
代表的なところで、スウェーデン発のグローバルなサービス「Spotify」はユーザー数7500万人、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでサービスされている「Pandora」は7600万人、台湾発でアジア主要国を網羅する「KKBOX」は1000万人と発表され、実際に高い人気と知名度を得ている。
日本国内では、この広告モデルを採用するサービスは見当たらない。CDがいまだに売れ続けている日本では、お金を払って音楽を聴くという習慣がリスナーにも残っているので、それをわざわざ壊す必要もないということだろう。
その代わり、低い料金で使える「ラジオ型」と呼ばれるサービスが用意されている。オンデマンド型のように、ユーザーが自由に選曲できない代わりに、聴取傾向を解析したプレイリストをストリーミングするもの。海外では、先のPandoraがこのタイプで、音楽のレコメンデーションサービスと捉えてもいい。
KDDIの「うたパス」、NTTドコモの「dヒッツ」がこのラジオ型で、いずれも300円台からの安い料金設定が魅力。加えて、もうひとつ見逃せないのはCDのリリースと同時に新曲が提供される点だ。もちろん例外もあるだろうが、繰り返し再生できない、ダウンロードもできないというところで、音源提供側がラジオと同様のプロモーションメディアとして捉えているからだろう。
次回は、これらのサービスを試して比べてみようと思う。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ