液晶ながら暗部の再現性は秀逸!
プラズマテレビの技術を活かすパナソニック
フルHD時代はプラズマテレビを主力としてラインナップを展開したパナソニック。しかし、プラズマテレビの開発・生産からも撤退し、現在は液晶テレビのみのラインナップとなっている。
筆者を含めて画質のよさで愛好する人も多いプラズマテレビだが、もともと高精細化が難しく(42V型サイズのフルHD化も液晶に比べて遅かった)、4K化は困難だった。しかも8K放送まで視野に入っている現状を考えると、残念ながら撤退という判断は正しかったのだろう。
そんな同社だが、2014年あたりから本格的に力の入った4K液晶テレビを発売。最新モデルではプラズマテレビの技術やノウハウを盛り込み、その実力を大幅に高めている。
最新モデルに採用されている高画質エンジン「ヘキサクロマドライブ」は、プラズマテレビ時代から培ってきた色再現技術「カラーリマスター」と、独自の「カラーマネジメント回路」で構成される技術で、BT.2020にも対応する広色域表示を実現している。
LEDバックライトは直下型で、高輝度・広色域を実現。特徴的なのは、暗部の色再現性が豊かなこと。液晶はコントラスト比が不利で、特に暗部はバックライトの光が漏れてしまう黒浮きなどもあり、暗部で色が抜けたような印象になることが少なくなかった。
そうした傾向は最新モデルでも多少あるのだが、最新モデルの「CX800/CX800N」シリーズでは、映画の暗いシーンなどを見ていてもかなり暗部の再現性に優れていた。
プラズマテレビで蓄積した駆動技術のノウハウを活かし、エリアガンマ制御とLEDバックライトのエリア駆動による「暗部階調制御技術」は、同社の4Kテレビの大きな武器と言える。コントラスト比では不利なIPS方式ながら、黒浮きが目立ちにくい深みのある再現は一見の価値がある。
このほか、他社のHDRに相当する「ダイナミックレンジリマスター」を採用し、パネルの高輝度化やLEDバックライト+エリア駆動に加え、信号処理でも映像本来の明るさを復元できる。
もちろん、ULTRA HD Blu-RayのHDR技術にも後日のアップデートによる対応を予定している。
精細な表現でも実力を発揮する超解像技術
超解像技術「4KファインリマスターエンジンPRO」は、映像解析で映像の特性を判別し、最適な高精細化を行なう「モデルベース型超解像技術」を採用。
データベース型に近いものだが、膨大なデータベースを内蔵するのではなく、元に超解像化のための信号処理をモデル化して実装していることが大きな違い。データベースにはない特徴を持った映像でも対応できるため、さまざまな映像への適応度が高くなっている。
さらに、ディテールの多い部分とそうでない部分を判別し、それぞれに適したディテール復元を行なう「模様判別技術」も加わっており、精細な表現の実力も高い。かつてはノイズが少なく見やすいものの、ディテールの再現性ではやや不満もあったが、現行モデルではディテールや精細さもライバルに迫る再現が可能になってきている。
ちなみに、パナソニックは有機ELテレビの発売にも意欲的だ。LGディスプレイなどのパネルメーカーの生産量の増大次第という面もあるので時期はまだ不明だが(早ければ来年中という話もある)、こちらにも期待したいところだ。
(次ページに続く、「レーザーテレビが注目の三菱電機」
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