BT.2020カバー率80%以上!
レーザーテレビが注目の三菱電機
このほか、日本で4Kテレビを発売しているメーカーとしては、三菱電機とLGエレクトロニクスがある。三菱電機は、今春の最新モデル発売はなかったものの、赤色レーザーを光源に採用した「レーザーバックライト液晶テレビ」が注目だ。
これは、赤色の再現が苦手な白色LEDではなく、赤色レーザーと、緑と青の再現に特化したシアン色LEDを組み合わせたバックライトを採用したもの。プロジェクターなどでの採用も出はじめたレーザー光源とLEDを組み合わせたハイブリッド型の技術だ。
赤色レーザーの色純度の高さは言うまでもなく、RGBの三原色の純度の高い光源という意味では随一の実力を持つ。事実、BT.2020の色再現範囲のカバー率80%以上を達成しているのは三菱電機だけだ。
なお、同社の高音質ブランド「ダイヤトーン」の技術を盛り込んだ、大型スピーカーの搭載も特徴的だ。振動板にはカーボンナノチューブを配合した独自の振動板「DIATONE NCV」を採用。振動板として理想に近い特性を持つ素材を仕様することで、自然でリアルな音を再現できる。テレビの両サイドに独立したスピーカーを備えた独特なデザインも存在感たっぷりだ。
有機ELの普及をめざすLGエレクトロニクス
LGエレクトロニクスは前回解説した有機ELパネル採用の4Kテレビを頂点に、IPS方式の4K液晶テレビをラインナップ。国内勢にやや見劣りを感じていた超解像技術をはじめとする映像処理技術もかなりのレベルになってきており、自然できめ細かな映像を楽しめる。
有機ELテレビの「EG9600」シリーズの映像を見た印象では、元の映像に忠実な素直な画作りで、きめの細かさを感じさせる柔らかな感触が印象的だった。有機ELのポテンシャルの高さは言うまでもないが、湾曲したカーブドデザインも特徴的で、注目度の高いテレビと言える。
最新技術を理解してテレビ売り場に行くと
いろいろな発見があるはず!
ということで、各社の薄型テレビの最新技術を一通りご紹介した。テレビ技術にはトレンドがあり、最新モデルでは高輝度や広色域があるが、それに対するアプローチには微妙に違いがある。
そして、各社の画作りの方向性にも違いもあり、さまざまな個性がある。今回紹介した各社の主要な技術を手がかりにして、例えば赤の色再現の違いや、太陽の光の輝きの違い、超解像による解像感の違いを見比べるようにすると、各社のテレビの画質の違いもよくわかると思う。
基本的に最新の薄型テレビはどれも高画質で、ぼんやりと見ているだけでは、画質の差はわかりにくい。だが、その違いが見分けられるようになると、それが好ましいかそうでないかを感じられるようになる。
そうなれば、自分の好みにあったテレビを選べるようになるというわけだ。4Kそして8Kと未来の予定ができている状況で、今すぐに薄型テレビを買い換えるべきとは言えないが、まずは久しぶりに電器店のテレビ売り場に足を運んで、各社のテレビの画質をじっくりと見比べてみるときっと楽しいはずだ。
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