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最新パーツ性能チェック 第178回

「Radeon R9 Fury X」はUltra 4Kゲーマーの選択肢を変えるか?

2015年07月01日 16時00分更新

文● 加藤 勝明 編集●北村/ASCII.jp

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3) カードサイズは200mm足らず&水冷ユニット標準搭載

 HBMを採用することでGPU周囲にメモリー設置スペースを広くとる必要がなくなったため、Fury Xは長辺約196mm(端子部からカード端までの実測値、以降同じ)の小さなカードに納まるようになった。

 小型PCでも最強クラスのGPUを使いたい……という人には朗報といえるが、今どきATXケースもちろん、ゲーマー向けMini-ITXケースでも280mmクラスのビデオカードに対応しているのが普通であることを考えると、ややズレた印象すら受ける。ただカードというより完全なボックスなので、視覚的なインパクトは大だ。

カード本体は“箱”のようにも見える。表面には細かい凹みがたくさん見えるが、穴は実際に貫通しているわけではなく、単なる装飾である。裏面にはDIPスイッチ(後述)があるだけでパーツは何も実装されていない

 TDP 275Wクラスの高発熱なGPUを搭載しているため、冷却は専用の水冷ユニットを介して行なう。ラジエーターは120mmファン1基を備えた肉厚(67mm)のもので、カード本体とは約370mmのホースで接続されている。

 カードは小型で非常に取り回しやすいが、ラジエーターユニットがかなりゴツい。PCケースに固定できる場所があるか確認してから購入すべきだろう。

Fury Xの水冷ユニットは完全にカードと一体化しており、冷却ファンの配線も不要

ラジエーターの大きさは120×65×155mm。長辺が長いのでPCケース側に120mmファン用の取り付け穴があっても物理的干渉が起きないかよく確認する必要があるだろう。

4) GPU負荷をひと目で確認できる「GPU Tach」

 補助電源コネクターは8ピン×2という骨太の仕様。ライバルのGeForceは第2世代Maxwellでワットパフォーマンスを大幅向上させているが、Fury XはTongaベースなので消費電力に関しては(HBMがあるものの)あまり期待はできない。

 だが、補助電源コネクターの付け根をよく見ると9個のLEDが埋め込まれている。これは「GPU Tach」(“GPUタコ(メーター)”の意味だ)と呼ばれるもので、ズバリGPUの負荷を可視化するためのものだ。

 8個のLEDで負荷を示すが、基板裏面のDIPスイッチで発行色は赤/青/紫の3色(+消灯)に変更できる。

赤・青・紫でそれぞれ光らせてみた。内部を見せるPCケースを出力端子側に最も近い1基は発光時に省電力機能「ZeroCore」状態であることを示すものだ

補助電源端子近くにあるDIPスイッチ。上側が赤、下側が青の発光を制御する。両方オン(左)にすれば赤+青で紫になる仕組みだ

カードの“背”の部分にもスイッチが隠されているが、これはBIOSを切り替えるためのもの。今回試したテスト用機材では同じ設定が入っていたが、今後異なるOC設定を切り替え可能な製品が生まれてくる可能性はある

5) フレームレート制限機能を搭載

 Fury XとR9 300シリーズに共通する新機能として、ドライバーレベルでフレームレートに制限をかける機能が実装された。

 GeForce系ではGTX680の時に組み込まれていたが、ユーザーが直接触れることはできず、EVGA製のオーバークロックツール「Precision X」などを通じてのみアクセスできた。

 だがFury X環境ではCCC(Catalyst Control Center)に組み込まれているため比較的楽にアクセスできる。軽めのゲームで消費電力や発熱量を抑えたい時に効果的といえる。

CCCの「パフォーマンス」欄に「フレームレート」という項目が新設。最大fpsは55~95fpsの範囲で自由に設定可能だ。もちろんゲームの画質をある程度下げ、フレームレートをあげておかないと意味がない

R9 290X環境では「パフォーマンス」欄に「フレームレート」という項目は出てこない

6) DVI撤廃、HDMI2.0対応は見送り

 4Kゲーミングを見据えた製品だけあって、出力端子の構成も変化している。Fury XではDVI出力が完全に淘汰され、3基のDisplayPortと1基のHDMI出力が標準構成となっている。

 ただ残念なのはHDMI出力が4K@60Hz出力対応の2.0対応でなく、従来と同じ(4K@30Hz出力の)1.4a対応であること。まだHDMI2.0対応液晶が少ないという事実はあるにせよ、ここは対応してほしかったところ。

 ただし同社のディスプレー同期技術「FreeSync」があるため、これに配慮した結果だとも考えられる。

出力端子はDisplayPortが主力に。DVI出力は影も形もなくなった

→次のページヘ続く (R9 290Xに対しては圧倒的な差を発揮

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