都市伝説その2:SSDは1~2年で壊れる……
(筆者の計算では)20年近く使える
「だってSSDはすぐ壊れちゃうんでしょ?」と思い込んでいる人も少なくない。「すぐに」というのはやや過剰かもしれないが「HDDよりも寿命が短いのは確実」という都市伝説は脈々と受け継がれているようだ。しかしそれも過去の話。
確かに、SSDに内蔵されるフラッシュメモリー内部の「セル」には書き込み(書き換え)回数の上限があり、同じセルが繰り返し使われることでそのセルが劣化する傾向にある。
つまり、劣化が進めばセルは寿命を迎えることになる。SSDではその上限回数が「MLCで数千~1万回程度」のように表記されており、1万回書き換えると壊れるのか……と絶望的なキモチになったものだ。
しかし冷静に考えればそもそもその「回数」というのがわかりにくく、いったいどれぐらいの「時間」使っていれば壊れるのよ? というような疑問も湧いたものだ。
現在主流となっているSSDもフラッシュメモリーが内蔵されており、もちろん書き換え上限は存在する。しかし、SSDに搭載されるコントローラーチップの性能が向上し、特定のセルだけを集中して書き換えないための「ウェアレベリング」機能が高性能になっていたり、データを整理する「ガベージコレクション」機能が効率化されたりして、フラッシュメモリーの各セルがまんべんなく使われるようになり、長寿命化している。
「だから長寿命とか言うけどさ、それってどのくらいなのよ?」と思うかもしれない。参考にしていただきたいのは「The Tech Report」という海外サイトによるSSDの耐久テストだ(関連サイト))。
同サイトでは市販の主要SSDを使って長期間のデータ書き換え耐久テストを敢行。24時間データを書き換え続け、一番最初に壊れたのがIntel「335 240GB」だったのだが、その書き換えられたデータ量はなんと700TB(テラバイト)。
もっとも長生きしたのはSamsung「840 Pro(256GB)」だったがそのデータ量たるや2.4PB(ペタバイト)だったという。
テスト開始から終了までには実に1年半かかかったそうで、テストではデータを書き換え続けた以外は、特にケアすることもなかったそうだ。
たとえば、このテストで最短寿命だったIntel 335 240GBに、連日100GBのデータを書き込み/書き換え続けたとしよう。100GBのデータを1日で書き込むというのはいろいろと現実的ではないかもしれないが、たとえばそれぐらいデータを書きこんだとしても、約7000日ぐらいは無事に稼働するわけだ。
7000日というとザッと計算しても約20年近い期間になる。20年後も大事にそのPCを使っているだろうか? と考えれば、答えは自ずと出るだろう。SSDはもはや寿命を心配する機器ではないのだ。
ただ注意してもらいたいのは、フラッシュメモリーが寿命を迎えなくても、搭載されているコントローラや基板のような機械的な部分が壊れる可能性はあるということ。それこそ予想できないところであり、いつかは壊れる、という点ではSSDとHDDとは大きく違わない。
次ページへ続く、「SSD都市伝説その3:デフラグしちゃダメ……」
この連載の記事
-
第3回
PC
クラウドにデータをバックアップする時に気を付けるべきこと! -
第1回
PC
HDDが熱すぎるはヤバい!? データが壊れる前にすべきこと -
PC
HDDやSSD、オンラインストレージを安全に活用するテクニック! - この連載の一覧へ