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WWDC 2015 - アップル開発者イベントでなにが出る!? 第13回

日本では受け入れられるか?

月額制ストリーミング「Apple Music」開始で喜ぶ人、困る人

2015年06月16日 19時00分更新

文● 貝塚/ASCII.jp編集部

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ストリーミングに対する批判も?

 近ごろでは、アーティスト側、レーベル側もCDという形態にこだわらず、「レコード+ダウンロード」や、「CD+レコード」、「ダウンロードのみ」、「USBメモリーに記録したハイレゾ版」など、様々な形態で音楽をリリースしています(やはりCD+ダウンロードが主流ではありますが)。

 アーティスト側、レーベル側が様々な形態で音楽をリリースするには様々な各々の理由があると思いますし、主義も絡んでくる問題なので細かくは言及しません(できません)が、「レーベルを運営する資金、アーティストが創作を続けていく資金を得るため」というのは、ひとつ大きな理由としてあると思います。「無料で音楽が聴ける時代に、物として魅力・価値のあるかたちでリリースする、付加価値を与える」という意味合いは多少なりともふくんでいるはずです。

 「音楽が売れない」と言われて久しいですが、サブスクリプション型の音楽ストリーミングサービスは、レーベルやアーティストの利益の面で、様々な議論を呼んでいます。レーベルやアーティストにどのくらいのマージンが入るのかは契約内容にもよる部分ですが、アーティストによっては「CDやダウンロードによる売上げより少ない」というパターンもあるようです。

アーティストが楽曲を引き上げた例も

 かつては、英バンドRadioheadのトム・ヨークが「中小レーベルや新人アーティストを応援する仕組みになっていない」として、自身の楽曲をSpotifyから引き上げたことがありました。また昨年にはテイラー・スウィフトが自身の楽曲をすべてSpotifyから削除し、話題になりました。

 国内でもApple Musicが始まりそうなことは、日本語版の公式サイトがすでに公開されていることからも、ほとんど確実です。浸透するかどうかは未知数ですが、音楽のダウンロード販売の普及にも大きな影響を与えた企業のすることなので、実際に始まればある程度、音楽を取り巻く環境にも変化が訪れるはずです。

 日本のレコード会社やレーベル、アーティストがどのような反応を示すのか。そもそも、どの程度のレコード会社やレーベル、アーティストがサブスクリプション型のストリーミングサービスで楽曲を配信するのか。

 実際に始まってみるまでは想像するしかありませんが、リスナーだけでなく、アーティスト側も喜べるようなものになるといいと思うのです。

あらゆるコンテンツはサブスクリプションサービスに置き換わる?

 近ごろはアドビのCSがCCに置き換わって、パッケージ製品からサブスクリプションサービスに変わったり、huluやNetflixといった月額制の映像配信が人気を集めたりと、「所有せずに使う、楽しむ」というタイプの製品、というよりサービスが増えてきていますが、音楽もそうなるのかもしれません。

 国内でのSpotifyが始まるのかな? と思わせるようなことがあったり、サイバーエージェントとエイベックス・デジタルによる「AWA」がはじまったりと、再び音楽のかたちが変わる流れは押し寄せつつあります。

 CDだったりレコード、あるいはダウンロードしたデータを持っていると音楽を「所有している」ような感覚になることがありますが、所有しているのは記録媒体なので、サブスクリプション型の音楽ストリーミングは、ある意味では、音楽の本来の姿に近いものにも思えます。個人的にはCD世代なので、本当にかたちが姿を消してしまうことを思うと、物寂しくもありますが。いずれにしても、人が音楽とは何か? と考え、音楽により深く向き合うきっかけにはなるはずです。

 そういえば、「1曲1曲に向き合う熱意が薄くなるから、あまり良くない」という意見も見かけました。ストリーミングは、本当に様々な議論を呼びますね。読者の皆様は、サブスクリプション型の音楽ストリーミングについて、どう考えますか?

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