WWDC 2015 - アップル開発者イベントでなにが出る!? 第10回
WWDC 2015、有識者はこう見る
「Apple Musicは日本の特殊事情に食い込めるか」――四本淑三氏
2015年06月10日 12時00分更新
2015年6月9日にAppleの開発者向けイベント「WWDC 2015」が開催された。今回の発表に関して、テクノロジーと音楽に詳しいフリーライター、四本淑三さんからのコメントが届いたのでご紹介する。
Apple Musicは強力だが、ハードルも

Apple Musicはかなり強力なサービスですが、国内ではいくつかハードルがあります。まず同じような定額サービスはあること。エイベックスとサイバーエージェントの「AWA」は、聴取傾向によるリコメンドや、90日間無料の設定など、Appleのサービスに近いものです。また「LINE Music」のサービスインも控えています。
ここでのApple Musicの独自性はアーティストとファンをつなぐという「Connect」機能でしょう。各種SNSに散らばりがちなファン向けの画像、動画、音源を集約すれば、より濃いコミュニティが実現できそうです。またストリーミングのみのサービスと違い、オフライン時に備えて「iTunesでダウンロード購入しておく」こともできます。
ただ、音楽配信立ち上がりの時期からレーベル各社の足並みが揃わなかったことで、日本では着うた以外の音楽配信は根付いていません。その一方で、動画サイトで活動するクリエイターが人気を集め、独自の音楽文化を形成しています。そうした日本の特殊事情にいかに食い込むかがカギでしょう。
四本淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ。

この連載の記事
- 第13回 月額制ストリーミング「Apple Music」開始で喜ぶ人、困る人
- 第12回 「アップル、プライバシー保護でグーグルとの違いをアピールか」――石川温氏
- 第11回 「より近づいた『OS X』と『iOS』の関係に注目」――西田宗千佳氏
- 第10回 「Apple Watchの性能が低いというのは誤解」――林信行氏
- 第9回 Apple Musicついに開始! ところで音楽ストリーミングってなに?
- 第8回 「アップルならではの未来をアツく語ってほしかった……」――カリーさん
- 第7回 Apple Watch向け「watchOS 2」は動画や単体でのアプリ起動に対応
- 第6回 「アップル開発者向けイベント、慌ただしい演出で過渡期を表現か」――荻窪圭氏
- 第5回 iPhoneの次期OS「iOS 9」は今秋リリース! ユーザーの行動や嗜好を学習
- 第4回 アップルの新音楽サービス「Apple Music」,
- この連載の一覧へ