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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第71回

Coinから考える、IoTではないモノのネットワークの世界

2015年06月25日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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複数のクレジットカード、銀行カードを1枚にまとめられるBluetoothデバイス、Coin。電子ペーパーでカード名と下4桁などを表示するあたり、シンプルながら良くデザインされたカードだなと感じました。ただ、スワイプするので結構すぐ傷つくのは、普通のプラスティックカードと同じですね

 筆者の手元に、Coinと呼ばれるカード型のデバイスが届きました。Coinは最大8枚までのクレジットカードやギフトカード、会員カードなどを1枚に束ねることができる文字通り「魔法のカード」です。

 見た目はクレジットカードのようですが、前面には電子ペーパーのディスプレーとカードの切り替えボタン、そして背面にはクレジットカードらしい磁気ストライプ風の部分、サイン欄、そして名前がレーザーカットで刻まれています。

 これでも立派なBluetoothデバイス。さすがにApple Watchと同じ、とまでは言いませんが、スマートフォンとBluetoothで通信して機能を果たす「ウェアラブルデバイスのパターン」を踏襲したものです。

スマートフォンを経由してカード情報を送り込む

 クレジットカードなどのカードは国際規格で厚さ0.76mmと定められていますが、さまざまなカードを含めて8枚もサイフに入れると6mm以上。これはかなり厚みにインパクトを与えます。

 クレジットカードを何枚も持つのは支出管理上あまり良くないように思いますが、スーパーの会員カードやカフェのプリペイドカードなど、クレジットカードと同じような磁気で読み込ませるカードは増え続けています。

 3枚以上のカードを束ねられる段階で、Coinの財布にとってのメリットは確かに高まります。

 これらのカードをCoinに読み込ませる方法は、スマートフォンやタブレットをカード決済端末に変えるSquareと全く同じです。イヤホンジャックにカードリーダーを接続し、アプリを立ち上げてカードをスワイプすれば情報が読み込まれます。

 ここにセキュリティーコードや持ち主の名前などを追加で登録し、カードの券面の色を選ぶと、準備完了。これを必要なカードの枚数回行ない、あとはBluetooth経由でCoinに同期すれば、カード情報がCoin側に入ります。

 あとは、Coinの切り替えボタンで使いたいカードの名前を表示させて、カード決済を行なうだけです。背面の磁気ストライプの部分はカードを切り替えるごとに変更される仕組みのようです。

 筆者の住むバークレーの店頭では、「クールだね」と珍しがられますが、決済を断られることはありませんでした。カード大国だけあって、珍しい券面も少なくないからかもしれません。

 ただ、Square決済の時もそうだったのですが、Coinアプリにカード情報を読み込ませる作業はスキミングのそれとまったく一緒なんだよなー、という不安もまた沸き起こります。

既存のモノをBluetooth化+アプリ連携させる

 Coinの初期設定にはやや抵抗感があるものの、セキュリティー面は既存のカードより優れているかも知れません。カードを複数枚束ねられるというメリットに加えて、カードそのものをロックできる仕組みが備わっているからです。

 前述の通り、カードの磁気情報を切り替えられると言うことは、オフにすることもできるわけです。たとえば接続しているスマートフォンが近くになければ「LOCK」と表示され、どのカードも利用できなくなります。

 モールス信号のようなパスコードで、Coin単体で解除することはできますが、ペアリングしたスマホが近くにない=持ち主が持っていないという解釈がなされているということでしょう。

 Coinは、クレジットカードという、米国をはじめとした日常生活の決済で欠かせないモノを、Bluetooth化し、スマートフォンと連携させています。前述の通り、財布のカード枚数を減らし、磁気カードになかったセキュリティー機能を提供してくれます。

 ウェアラブルデバイスはスマートウォッチのように汎用性が高く、アプリ開発も可能なものに注目が集まりがちですが、日用品への適用はまだまだ可能性が開けているのではないか、と考えています。

 たとえば歯ブラシだったら、最適な圧力とブラッシングの回数、角度などの計測に良いのではないでしょうか。もし家族同士の歯ブラシが通信をしたら、食べるものがおおよそ同じであれば、ブラッシングのフィードバックを次に磨く人に伝えるという手もあります。

 あるいは水のボトルにBluetoothが入って、1日の飲む量を計測できても面白そうです。スマホのアプリがネットから取得する気象条件に応じて、もっと飲めとプッシュ通知がスマホに届くと、熱中症を未然に防げそうです。

 個人的には、万年筆のインクの残量や感想状況などを何らかの形で知らせて欲しいのですが、ちょっとこれはトリッキーでしょうか。


(次ページでは、「IoTとウェアラブルデバイス」)

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