筆者にとって「iPad」は衝撃的なデバイスだった。
今は亡きジョブズがドヤ顔(?)で世に送り出したリンゴ印の“ハイテクまな板”は、各社が何度もチャレンジしつつもあまり大きな成果を挙げられなかった、タッチ操作の「タブレットデバイス」という新分野を開拓した。iPadはその手軽さから、これまでノートやケータイを取り出さなければならなかった作業のおよそ半分(筆者体感比)をかっさらっていった。
「あぁこれなら、(原稿を書くような仕事以外には)ノートパソコン要らなくね?」と考えたガジェ夫くんガジェ子さんは少なくないはずだ。
とはいえ1台じゃ、収まらないんですよ!!
現在筆者のモバイル環境は、外で気軽にウェブサイトやメールの確認をするだけなら「iPad air 2」1台でこと足りている。もちろんノートパソコンも所有していて、いまだに白いポリカーボネートのMacBookも使うが、持ち出すのは仕事などで書類や写真などの編集が必要なときだけと限定的だ。そのため新機種を購入せず、メモリーの増設やストレージの換装など最小限の投資で凌いできた。
費用対効果で見ればそれで充分だった。毎日持ち出すタブレットと、月に数回しか持ち出さないラップトップと。限られたお金を費やすとすればどちらかは明白だろう。
ただ一方で、ディスプレーを持つ機器を複数台持ち運ぶのが効率的かどうかについては、この2~3年ずっと考えてきたことである。もちろんiPadだけで済むなら、それが一番楽だ。しかしiPadには「入力デバイス」(キーボード)や周辺機器、そして何よりマシンパワーという課題がある。短い原稿ならiPadのソフトキーボードでバリバリで打ち込んでしまえばいいが、取材仕事をiPad1台でこなすとなると、どうしても役者不足に感じてしまう。
でもノートがあってもタブレットは持ちたい
逆に「ノートを持ち運ぶときにタブレットは不要」というわけにも行かない。2kgオーバーの白MacBookを持ち運ぶ際には、iPadや財布など頻繁に取り出すものはショルダーバッグに加え、ノートを入れるナップザックを追加するという重装備だ。
500mlペットボトル4本分の重量に加え、カメラなどの取材道具。一度この装備一式を持って体重計に乗ったら、重量がなんと約15kgも増えてしまった。これではまるで、雪山登山あるいは軍隊の訓練装備である。2in1のモバイルノートで1台に済むならそれもありかな? と心が揺らぎかけていた。
その最後の一押しになったのがVAIO Zという存在だ。
というわけで、この企画では「2枚の画面を1枚にまとめる」をキーワードに、VAIO Zが本当にラップトップとしてもタブレットとしても「使える」マシンなのかを、実際にガリガリ使って確かめてみようと思う。タブレット的な気軽なコンテンツの閲覧と、ラップトップ的なコンテンツの作成をVAIO Zでどこまで快適にできるかを試してみたい。
もっともApple製品にはiCloudを核としたカジェット間の連携という強みがある。1台で完結してしまうのがいいのか、それともデータさえ同期できてれば、複数台使い分けるほうがいいのか。平たく言えば、Mac + iPadという「Appleのエコシステム」をVAIO Zの1台で駆逐できるのかを知るのが目的である。数年間Apple製品に囲まれて過ごしてきた筆者だが、VAIO Zではこの圧倒的連携力・徹底的中毒力に迫れるだろうか。「やっぱりAppleってスゲーな!」という、ミもフタもない結果にならないことを祈りたい。
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