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若手ライター天野透が使うVAIO Z 第3回

iPadを机の奥にしまった感想は「これなら十分戦える」だった

2015年08月03日 13時00分更新

文● 天野 透 編集●ASCII.jp

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 VAIO Z最大の特長といえば、ラップトップ形状からグルっとディスプレーを回転させて、ワンタッチでタブレット形状になることだろう。背面パネルの真ん中にラバーヒンジが備わっており、ここから半分に折れる「マルチフリップ機構」は、SONY時代のVAIO Fit Aシリーズと現行VAIO Zだけの特殊な構造で、これが「タブレットとしてのVAIO Z」の大きな可能性だ。

 第1回目の記事で、長期レビューのテーマを「2枚のディスプレーを1枚にまとめる」に置いた。今回は筆者私物のiPad Air 2(64GB SIMフリーモデル)でこれまでこなしてきた作業が続けられるかを探る。タブレットの王者iPadに、VAIOはどこまで迫れるだろうか。

軽快さに汎用性など、コンテンツ消費にはiPadがイイ

 結論から言ってしまうと、iPadは優秀だった。基本構造がよく練られているのだ。スペックだけで比較するとVAIO ZとiPadとでは天と地ほどの性能差があるものの「掌の情報端末」というタブレットの用途として、iPad以上のスペックはそうそう必要がない。それよりも薄さや軽さ、そして手軽さが重要になるのは言うまでもないだろう。

 iPadの優位性を強く感じたのは、外出先よりもむしろホームユースだ。移動中の電車や街ナカのカフェではVAIO Zを取り出すことにさほど違和感を覚えない。ただし、自宅で気軽にウェブブラウザーやメールを使う際、iPadとVAIO Zのどちらを使うかというと、これは圧倒的にiPadだ。

 その大きな要因はiPadのファンレス機構と軽量さだ。ベッドで寝転がってネットの情報を漁るのに、VAIO Zはさすがに「デカい」のである。

 そして何よりも重要なのは、はじめからタッチパネル操作で完結するよう設計されたiOSは、ソフトキーボードやマルチタッチジェスチャーなどの挙動に引っかかりがなく、操作が自然だ。2007年のiPhone登場と共に産声を上げたiOSは、iPad Air 2発売時で7年分の進化と改善を重ねている。タッチデバイスに最適化されてからまだ日が浅いWindows 8と比較すると、この熟成期間の差はなかなか埋めがたい。

生産性に直結する要素はVAIO Zの勝ち

 とはいえVAIO Zがタブレットとして使いものにならないのかというと、決してそういうわけではない。長時間手に持つにはやや大きく感じるが、約1.3kgならば立ったままの姿勢でも十分使える重量だろう。

 また、公称約15時間というバッテリーライフとInstant GO機能のおかげで、電源はスタンバイ運用を基本として常時投入しっぱなしで使いたいときにすぐ使える。タブレットそのままの運用ができる。

 当然基本性能は圧倒的に高いので、スペック不足で我慢を強いられることはなかった。ビューイング中心といっても、たとえばメールに添付されてきたWordファイルの閲覧やちょっとした編集をする機会はある。その際にキーボードがあると便利なのは確かだし、iPad版にあるような縦書きが使えなかったりスタイル設定に手間取ったりという制約も感じない。ソフトキーボードにはない、ショートカットキーを多用できる面もあり、作業効率は雲泥の差だ。

 もうひとつ無線LANのつながりやすさは特筆しておく。これはVAIO ZとiPadの大きな違いのひとつだ。両者ともに最新規格である802.11acに対応しているが、VAIO Zは設計段階でLDS式小型アンテナの配置が最適化されており、iPadはもちろん、通常のPCよりも明らかに無線が安定している。持ち歩きを前提に運用するマシンなので、これは非常に重要な要素だ。

それでも荷物が減るのは大きい

 VAIO Zのタブレット機能については、主にソフトウェア的な側面で、「もう少し快適になれば」と思うところもある。それでもWindows 8.1をタッチパネル主体で運用しても、十分実用的だと感じるレベルになってきた。

 Microsoftアカウントを利用することで、画像バックアップ(フォトストリーム)やカレンダー同期などのクラウドサービスも、iCloudに肉薄したレベルで運用ができる。確かに不満もあるのだが、これでは使いものにならない、使う気にならないというほど決定的な欠点もない。

 もちろんiOSにしかないアプリも多く、ソフトウェアの問題はVAIOだけで解決するのは難しいのだが、ウェブブラウズ・メール・メッセージングといった基本的なところは問題なさそうだ。「ディスプレーの統合」という目的もなんとか達成できそうだ。

 リンゴ・シンドロームに陥っていた筆者が思い切ってiPadを机の奥にしまってみた感想は「これなら十分戦える」だった。

天野 透(あまの とおる)

 1987年生まれ、神戸出身の若手ライター。某家電量販店で販売員を経験した後に、一念発起して都内の大学へ進学。大学院で文学を学びながら、二足のわらじでライター稼業を続ける毎日。信念は「高度な社会に物語は不可欠である」。何事も徹底的に楽しみ尽くしたい、凝り性な人間。

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