本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
「BLEペリフェラル」としてのApple Watch
「Apple Watch」が発売されて約1カ月が経過した。初期購入者はその機能と存在に慣れ始め、レビュー記事のラッシュも過ぎ去り、冷静にその「本質」を見られるタイミングが到来したといえる。
「スマートウォッチだ」「いや腕時計だ」と、Apple Watchに貼られるラベルは多数あるが、個人的には「BLEペリフェラル」に興味がある。いずれはネイティブアプリ(iPhoneに頼らず自律的に動作するアプリ)も増えるのだろうが、パフォーマンスやバッテリーの都合もあり、その方向で一気に推し進めるのは無理筋……とすれば、当面は他の機器との連携に活路を見出すだろうからだ。
BLE(Bluetooth Low Energy)および同規格に対応する機器を総称したブランド「Bluetooth Smart」は、従来のBluetoothに比べ圧倒的に消費電力が少ない。実効通信速度はせいぜい数十kbpsと低速だが、事前機器登録(ペアリング)の必要がなく、無接続状態から実際のデータ送受信までがミリ秒単位の時間ですむ。待機状態の消費電力がごくわずかなうえに、数十バイト程度のステータス情報であればほぼ一瞬で送信が完了することのメリットは大きい。
BLEデバイスは、中央装置に位置付けられる「セントラル」と、子機としての役割を持つ「ペリフェラル」に大別できる。通常、ペリフェラルは情報の"出し手"であり、セントラルはその情報を受け取りなんらかの処理を実行する。そしてペリフェラルは自身の存在を周囲に知らせるための告知(アドバタイズ)を行ない、セントラルはスキャンによりペリフェラルの存在を知る。
iPhoneとApple Watchの場合、当然ながらiPhoneがセントラルでApple Watchがペリフェラルだ。そしてApple Watchは随時アドバタイズを行なうため、iPhone以外のBLEデバイス(セントラル)から検出できる。
実際のところ、他のBLE対応機器からApple Watchは常に「見えている」。iPad mini上で、iOSアプリ「BTLExplorer」をBLEスキャナとして動作させたところ、近くに置いていたApple WatchとiPhone 6は"ある動作"を行なった直後に捕捉できた(iOS 6以降はiOSデバイスもBLEペリフェラルとして動作する)。
ある動作とは、BLEによる通信を必要とする機能を利用すること。Apple Watchの場合、「カレンダー」や「アクティビティ」を起動すると、ペアリング中のiPhone 6との通信が必要になるためアドバタイズを開始するので、セントラル側(前述でいえばBTLExplorer)で実行中のスキャンの網にかかる。iPhone 6の場合、ハンドオフやAirDropといったBLE関連機能を含むアプリを起動すれば同様の現象が起こるはずだ。
BTLExplorer | |||
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価格 | 無料 | 作者 | KS Technologies |
バージョン | 2.1 | ファイル容量 | 4.1 MB |
対応デバイス | iPhone 4S以降、iPad 2以降、iPad mini | 対応OS | iOS 6.0 以降 |
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