14nmプロセスのZenコアは
実行命令数が40%向上
さて、ここからはFinancial Analyst DayにおけるCTOのMark Papermaster氏のプレゼンテーションを見てみたい。
まずZENコアであるが、こちらはFinFETをターゲットとしたプロセッサーであることが明言された。つまり、GlobalFoundriesの14LPEか14LPPが考えられることになる。
どちらかというのは現時点では不明であるが、時期的には14LPPでも不思議ではない。またHigh-Bandwidth, Low Latency Cache Systemとは、K7以降で長らく採用されてきたExclusive Cache(Victim Cache)の構成を捨て、Inclusive Cacheを採用することのようだ。
またIPC(instructions per clock:クロック周波数あたりの実行命令数)に関しては、Excavatorコアと比較して40%の改善があるとしている。
実のところBulldozer~Piledriverの構成では、デコーダーは4命令/サイクルとしながらも2コアでデコーダーが共有だったので実質2命令/サイクル未満の効率だった。Steamrollerではデコーダーそのものは分離したものの、実質2命令/サイクル程度のデコーダーだったため性能面での改善はほとんどなかった。
ZenではSMT(Simultaneous Multithreading)をサポートする構成になっているため、最低でも3命令/サイクル。実際にはSMTをサポートするオーバーヘッドを考えると、4命令/サイクル程度のデコーダーと最低でも3つの整数ALU、Load/Storeユニットが2つ以上は含まれる、それなりに重厚なコアになるだろう。
もっともこれはかつてのK7~K10の世代では結構なエリアサイズになるだろうが、14nmプロセスならば大したエリアサイズにはならない。K12も4命令/サイクルのCPUになるとされているから、少なくともこれと同等以上の規模になることは間違いなさそうだ。
そのK12はまだ詳細は明らかにはされていない。ただ、以前ARMの関係者に「Cortex-A72はなぜ4命令のOut-of-Order構成にしなかったのか」と尋ねたところ「AMDやBroadcomはそういう構成だが、我々は3命令のままで性能を改善できる」という返事が返ってきたあたり、少なくとも4命令/サイクルの構成であることは間違いなさそうだ。
Kaveri-Refreshこと
Godavariを投入予定
Zenコアに関する発表はこの程度であるのだが、以下若干の余談をお届けしよう。Finantial Analyst Dayにあわせて、AMDはCarrizo/Carrizo-Lを発表した(関連記事)。
こちらはモバイル向けということで、おそらくA8-7410/A6-7310/A4-7210がCarrizo、E2-7110/E1-7010がCarrizo-Lと思われるが、これに続きCOMPUTEXの前後にKaveri-RefreshことGodavariを投入する予定だ。
いくつかのニュースサイトがすでにGodavariのラインナップを報じている(例えばWCCF Tech)が、AMD自身がこれの一部を公式に明らかにしている。
やはりFinancial Analyst DayにおけるCEOのLisa Su氏の“COMPUTING AND GRAPHICS BUSINESS”というスライドの一部で、今年のAMDの製品も競争力はまだ維持していると紹介しているのだが、ここで“Core i5と比較して40%以上グラフィックが高速”としている製品が、AMD A10-8700Pであった。
GPUコアはRadeon R6 graphicsだそうで、微妙にWCCF Techのスライドとはあってないのだが、型番的にはGodavari世代のものであろう。
このスライドにはAMD FX-8800Pという製品もあるが、これはCarrizoベースのモバイル向けAPUのようで、3DMarkの結果からすると定格1.7GHz/最大2.1GHzであり、GPUのCU(Compute Unit)数は8つ(つまりシェーダ数は512)と思われる。これらの製品の詳細はCOMPUTEXのタイミングで明らかになると思われる。
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