まもなく展示開始、Apple Watchを世界先行レビュー
Apple Watch: アップルによる腕時計の再定義
2015年04月08日 21時01分更新
「Apple Watch」が、いよいよ4月10日から予約が開始され、4月24日から発売される。レビューのためにApple Watch(42mm)とミラネーゼループの組み合わせで試用しているのだが、すでに発売から数年は経っているかのような、成熟した使い心地を感じさせる。
Apple Watch 特徴紹介 from Nobuyuki Hayashi on Vimeo. |
新時代の幕開けを通知する、多彩な音と触感
「腕時計を再び創造する」。Apple Watchは今回発売される最初の製品から公式ホームページにさりげなく書かれた大胆な目的に恥じない仕上がりとなっている。
携帯電話が普及して、皆がiPhoneで時間を確認している21世紀、腕時計はどうあるべきか。今日では、腕時計は“時を知る”という以上に、身に着けていることの心地良さや、それを使っている自分に酔いしれる嗜好品としての趣きがある。
Apple Watchは、細部までこだわった“つくり”で、まずこの条件を十分にクリアしている。
その上で、腕時計という存在の便利さを蘇生させるような現代的な工夫も行なっていて、1週間ほど試用した間だけでも「なるほど、腕時計はこう進化したのか」と毎日のように驚かされることの連続だった。
38種類ある時計としての“つくり”の部分は、42mmのミラネーゼループしか試せていないので後回しにして、まずはApple Watchの腕時計として進化した部分に注目してみたい。
Apple Watchを使っていて、一番、便利に感じるのは、さまざまな通知を逃さないことだ。
荷物を持って両手がふさがっている状態でも、手首をくいっとかえせば通知を読むことができる。
iPhoneだと、騒音で着信音を聞き逃してしまったり、カバンの中に入れっ放しにして見逃したりすることも少なくない。
Apple Watchは、常に腕に巻いていることが前提で、メッセージが届いたり、間もなく次の予定が始まるというタイミングで、吟味された効果音と共に、手を時計の上から軽く叩かれたような感触だったり、ちょっとだけギュっと掴まれるような感触だったりと、異なる触感で教えてくれる。アップルは、このためにわざわざTAPTICエンジンという触感エンジンを開発している(TAPTICエンジンは新しいMacBookにも搭載されているが、MacBookは操作する指に振動を伝える形態。Apple Watchでは装着している腕に振動を伝える)。
この触感はかなりハッキリしていて、ウトウトしている状態や激しめの運動をしている時でもハッキリと気が付く(ただし、無理やり起こされる感じではない)。
ちょっとだけ昼寝をする時、疲れが溜まっていて寝過ごさないか心配な時は、Apple Watchを装着したままにしておくと、プルルルルルというはっきりとした振動で腕を揺さぶってくれる。iPhoneで警告音を鳴らすような力技に頼ることなく、消音設定にしていても、周りの人に迷惑をかけずにひとりで静かに起きることができる。
通知のタイミングの設計にも驚かされる。iPhoneを使って何か作業をしている間は、ユーザーはiPhoneで通知を見ているだろうからと、Apple Watchは重複通知にならないように“黙っている”のだ。
両者のスマートな連携はこれだけではない。例えば電話がかかってきてしばらくするとApple Watchでも着信音が鳴るので、「応答」ボタンを押してApple Watchのスピーカーフォンで応答することもできる。そこで話が長くなりそうになったら、iPhoneをポケットから取り出すといい。すると、ロック画面の左下に電話のマークが表示されるので、これを上にスワイプするだけで通話の続きをiPhoneに切り替えられる。
メールの閲覧やPassbookの確認など、その他の操作をしているときも同様で、Handsoffと呼ばれる機能によって、機器を切り替えてもきわめてスムーズに同じ作業を続行できる。
通知に関しては他にも感心させられることがある。Apple Watchは、基本的にRetinaディスプレイ(文字盤面)が顔の方を向いているときだけ、画面内容が表示される。これは節電のためという狙いもあるが、実はプライベートな情報が人に覗かれるのを防ぐという役割もある。
通知が届くと音と振動でわかるので、腕を上げて顔に向かってひねる。ここで初めて画面内容が表示され、届いた通知が読める。そして腕を下ろすと、再びRetinaディスプレイがフェードアウトするように消えていく。なので、電車のつり革を持った状態で、届いたメッセージが周囲の人や目の前に座っている人に覗かれるような心配は少ない。
では、Apple Watchは、どうやって時計のRetinaディスプレイが人の顔の方を向いているのか分かるのだろう? これは加速度センサーなどのセンサーを使って時計の向きを調べている。
Apple Watchは、左右どちらの腕にも装着でき、Digital Crown(デジタルクラウン、リュウズ)が右側に来るようにも左側に来るようにも取り付けて使える。iPhoneでどのように装着したかを設定すると、必要なら画面表示がくるっと180度回転してくれる。この設定をちゃんと行なっていれば、Apple WatchはRetinaディスプレイが顔の方を向いているかをかなり正確に判断する。
さらに、通知のプライバシー保護に関しては「タップをするまで詳細を表示しない」といった設定もある。
Apple Watchは、写真アルバムやメール、友達の連絡先まで、きわめてプライベートな情報を扱える端末なだけに、アップルもプライバシーの保護については真剣に議論を重ねたようだ。Apple Watchは腕から外すと自動的にロックがかかり、4桁の暗証番号を入力しないと時計以外の機能が使えない状態になる。Apple Watchは本体の背面に脈拍などを測れるセンサーを採用しており、どうやらユーザーが時計を腕に装着しているかどうかも検知しているようだ。

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