まもなく展示開始、Apple Watchを世界先行レビュー
Apple Watch: アップルによる腕時計の再定義
2015年04月08日 21時01分更新
Apple Watchがコミュニケーションを変える
Apple Watchを1週間ほど試用してみて、やはり一番便利に感じたのはメッセージの送受信だ。
iメッセージが届くとキーンという鈴をならすような音が鳴り画面にメッセージが届く。いちいちポケットからiPhoneを取り出さないでも、手元で確認して、急用でなさそうなら後回しにできるというのはなんとも気分が楽だ。これがiPhoneだと、せっかくポケットから出してロック画面を解除してしまったからと、ついついFacebookの他の人の投稿を見たりと余計なことをしたくなり、気がつけばずっとiPhoneをいじってしまう。
Apple Watchだと、片腕をそんなに長時間あげっぱなしにしておくのがそもそも厳しいので、返事をする場合も比較的簡単に終わらせてしまう。
英語だと相手から送られてきたメッセージの文意を解釈して、それにあった定型文が表示されるが、日本版では以下6つの定型文が用意されており、ここから選ぶか、クラウンを回して選択できる3タイプの絵文字を送るか、メッセージを声で入力して録音音声のまま送るか、あるいは音声認識した文字情報として送るかといった返信方法が用意されている。
- 「はい、なんでしょうか?」
- 「今、向かっています。」
- 「わかりました。」
- 「現在、電話に出られません。」
- 「後でかけ直します。」
- 「どうもありがとう。」
あまり長文には向かないが、Handsoff機能でiPhoneに切り替えると、即座に同じ相手の新規メッセージ画面が現れるので、iPhoneから返信を入力できる。
Apple WatchではFacebookのメッセージが届いても音がなってメッセージが表示される。
実は最初、これが不思議だった。なぜならFacebookは、まだApple Watchに対応しておらず、アプリもないからだ。
だが、実は簡単なことでApple Watchは、そもそもiPhoneを見ていないときに届いた通知は、すべてApple Watchに転送するようになっている。だから、Facebookのメッセージ受信も通知センターの機能として表示されるのだ。ただし、アプリがないので返信をしたり、メッセージを作成/送信する機能はない。
LINEのアプリもあり、メッセージは新規作成できないが未読メッセージを読める。
だが、メッセージ機能の肝は、なんといってもApple Watch同士でだけできるスケッチ、タップ、ハートビートの3つのコミュニケーション方法だろう。
デジタルクラウンの下にあるボタンを押すと、最大12人まで登録できる友人の一覧が表示され、Apple Watchを持っている人を選んだ場合だけ、名前の下に指のアイコンが現れる。これをタップして、画面に絵を描けば、絵を描く様子がそのまま相手のApple Watchで再現され、画面を指でトントンと叩くと、叩いた通りの振動が相手のApple Watchに伝わる。そして画面の上に指を2本のせてしばらく待つと、自分の心拍が計測され、その鼓動が相手のApple Watchに伝わる。
小さな画面にいざ、文字を書こうとなると、なかなか難しく英語やかな文字で2〜3文字が限界。しかし、こうした制約がある方が人はクリエイティビティを発揮するもの。
かつてポケットベルでさまざまな暗号が生まれたように、これからApple Watchのスケッチで描いた、恋人同士あるいは同僚同士でしかわからない暗号なども誕生するのかもしれない。
これまでウェアラブルという製品には、少し懐疑的なところがあった。そもそも腕時計ですらあまりはめないし、そうでなくても情報過多の時代に、これ以上、ディスプレイを増やしてどうするのだ、と思っていた。
しかし、Apple Watchは、試用していたわずか1週間の間だけでも、iPhoneとの見事な連携によって、1日に接する情報の全体量をスリム化し、コミュニケーションをシンプル化してくれた気がする。
今、コミュニケーション疲れ、ソーシャル疲れを感じていた人たちにも、改めて心地よく楽しかったデジタルコミュニケーションのあり方を再度実感してもらえる、期待できるデバイスではないかと思う。
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