「Apple Watch」の事前予約が、日本、米国を含む9地区で4月10日に始まった。すでに一部機種では出荷時期が6月となるなど、事前予約分は売り切れた様子。Appel Watchは市場の期待通りにスマートウォッチ市場の救世主となるのか、はたまたそれを超えた「一人勝ち」となってしまうのか。
発表から7ヵ月
ようやく事前予約がスタート
4月10日、Appleはオンラインとオフラインの両方でApple Watchの展開を本格始動した。オンラインでは事前予約を開始し、オフラインでは直営のApple Store、およびファッションビルなどでの“試着”を開始した。これは1対1でAppleのスタッフからApple Watchの説明や選択にあたってのポイントを教えてもらえるコンサルサービスのようなもの。”スマート”という枕詞があろうと、腕時計なのだから「試着」となるのだろう。
発表から7ヵ月。実に長い助走期間だったが、まだ正式なスタートラインを切ったわけではない。だが、事前予約は順調のようだ。当初発売予定は4月24日としていたが、一部機種では出荷時期が6月になっており、ヒットを予感させる。
eBayでは399ドルの42mmスペースグレイアルミニウムケース/ブラックスポーツバンドの「Watch Sport」が570ドルで落札されるなど、実際に注目している人の数はともかく、関心は高いようだ。なお、最初の週末が終わった段階では、Appleは事前予約の数、事前予約枠で準備していた台数などの数字は明かしていない。
スマートウォッチとしての課題や機能を見ると
これまでの製品と大きな違いはない
スマートウォッチ分野の課題から、Apple Watchを見てみよう。スマートウォッチは2013年から盛り上がりを見せている製品カテゴリーだが、実際にユーザーのニーズはあるのか、用途が何なのか(メーカー側が作ろうとしている以外に)、バッテリー持続時間などの課題がある。
用途については、Apple Watchは操作性での工夫や特徴はあるものの、機能的にはスマートフォンとの連携(メッセージの送受信、着信の通知、カレンダー機能など)が中心という既存のスマートウォッチの枠を出たものとはいいがたい(モバイル決済の「Apple Pay」を除く)。
現在、スマートウォッチが活路を見出しているのはフィットネスに関心のある層だが、Apple Watchが内蔵する機能もここを意識しているといえる。あとは、アプリのエコシステムがどのように発展していくのかだろう。たとえば、業務アプリケーションのSalesforceはいち早く、Apple Watchで重要なデータにアクセスできるとする「Salesforce for Apple Watch」を発表している。IoT、業務用途など、新しいスマートウオッチの使い方をApple Watchを通じてAppleおよびサードパーティは開拓できるのだろうか。
次に無視できない課題であるバッテリー。Appleのサイトによると最大18時間。1日使って夜に充電というパターンとなるが、これについても着けたままで充電できるものなど周辺機器が出てきている。
(次ページでは、「Apple Watchに見るAppleの新しい販売戦略」)
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