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新MacBookとApple Watchを知る 第26回

まもなく展示開始、Apple Watchを世界先行レビュー

Apple Watch: アップルによる腕時計の再定義

2015年04月08日 21時01分更新

文● 林信行、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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楽しくも美しいタイムピース(時計)
アップルがもっとも重視したもの

 Apple Watchで、アップルがもっとも重視したのは時計の機能だ。本体側面のDigital Crownを押し込むと真っ先にRetinaディスプレイに表示されるのは、アプリを起動するホーム画面ではなく、時計アプリの画面だ(時計が表示された状態でもう1度、Digital Crownを押し込むとホーム画面が表示される)。

 時計のフェース(盤面)は、Retinaディスプレイの画面をプレスする(強く押す)と、ゴツっという鈍い振動があってカスタマイズできるようになる。長押しではなくプレスだ。Apple Watchのタッチパネルは感圧式になっている。

 フェース(盤面)の表示は、軽快に踊る足の動きがかわいらしいミッキーマウスのフェース(盤面)から、くらげ/花/蝶の繊細な動きに癒されるモーション、シンプルなアナログ表示、デジタル表示など9種類の基本形がある。また「カスタマイズ」というボタンを押すことで、目盛りの区切り方を変えたり、色を変えたり、コンプリケーションと呼ばれる追加情報が用意され、日付や気温、次の予定、ストップウォッチなど多彩なものが選べる。これらすべてを含めた組み合わせパターンは、200万種類にも及ぶのだ。

 その中でも作り込みが素晴らしいのは、「アストロノミー」というフェース(盤面)だろう。地球の現在の状態をふかんで見れる、というもので、Digital Crownを回したりタッチ操作でドラッグして地球を好きな向きに回転させることもできれば、左下の月のアイコンをタップして、月を表示させることもできる。この状態でDigital Crownを回せば、数日後や数日前の月の満ち欠けの状態を調べられる。

9種類ある基本フェースの中でも、もっとも作り込みが凝っているのが「アストロノミー」だ(冒頭の動画でも動きを見ることができる)

 また画面右下のアイコンをタップすると太陽系の惑星の現在の配置が表示され、Digital Crownを回して数日進めたり巻き戻すこともできる。画面を2回タップすると、惑星がそれぞれ文字で表示されるようになっており、この時のアニメーションも美しい。

地球や月、太陽系の現在の状態を見ることができたり、数時間後、数日後の月の満ち欠けや惑星の配列を見ることもできる

文字盤を上にスワイプする「グランス」で
必要な情報だけを瞬時に把握

 記事の冒頭で、Apple Watchでもっとも重要な機能のひとつとして「通知」を紹介したが、通知の履歴は画面の上端から下に向かってスワイプすると、iPhone同様「通知センター」が現れて振り返ることができる。

 一方、文字盤を下端から上に向かってスワイプすると「グランス」が現れる。

 グランスとは、チラッとだけ見ること。

 パソコンは、いわば数時間“見つめ合う”機械だが、スマートフォンは1回あたり数分間見つめる機械だった。これに対して腕時計は、腕をずっとあげたままにしておくのも辛いので、数秒間だけ見て用事を済ますという使い方がもっとも向いている。

 グランスは、まさにそうしたやりとりのために用意された。必要な情報だけを表示したり、いつもやる決まりきった操作だけを行なうための機能で、パソコンでいう所の「ウィジェット」に近い存在だ。

 例えば天気のグランスは、現在地の天気と気温だけを表示する。予定のグランスは次の予定を1件表示するだけ。

天気のグランスを表示すると、現在地の今日の天気が表示される。時間帯ごとの天気の変化を調べたり、1週間の天気を知りたければグランスをタップしてアプリケーションを起動する

 地図のグランスは、現在地周辺の地図を表示するだけなので、拡大や縮小をしたい場合はタップするといい。マップのアプリケーションが起動するので、そちらで行うことになる。

地図のグランスは開くと現在地を表示してくれ、タップすると地図アプリに切り替わる

 このようにほとんどのグランスには、本体となるアプリケーションがあり、グランス画面をタップすると本体アプリケーションが起動する。

 では、続いて「アプリケーション」について紹介しよう。アプリケーションはグランスよりも、もう少し細かな操作をするためのソフトウェアだ。ただし、Apple WatchはそもそもiPhoneと一緒に持ち歩くことが前提なので、文字入力などの複雑な操作はそちらに任せる前提のシンプルな機能のアプリが多い。

 時計が表示されている状態で、Digital Crownを押し込むとホーム画面が現れる。丸いアイコンひとつひとつがアプリのアイコンで、これをドラッグをしてスクロールしたり、Digital Crownを回して拡大縮小したりもできる。ただし、アプリ名が表示されることはないので、どのアイコンがどのアプリかは覚えておく必要がある。

時計が表示されている状態で、Digital Crownを押し込むとホーム画面が現れる。丸いアイコンひとつひとつがアプリのアイコンで、これをドラッグをしてスクロールしたり、Digital Crownを回して拡大縮小したりもできる

 標準アプリは電話、メッセージ、メール、カレンダー、アクティビティ、ワークアウト、マップ、Passbook、Siri、ミュージック、カメラリモート、Remote、天気、株価、写真、アラーム、ストップウォッチ、タイマー、世界時計、設定の20個だ。

 それぞれの紹介は後編に回して、今回はApple Watchならではのアプリ、カメラリモートだけを紹介しよう。

 このアプリを起動すると、iPhoneで自動的にカメラが起動して、カメラに写っている像がApple Watchの画面にも表示される。そしてApple Watch上のシャッターボタンを押してカメラのリモコン撮影ができるのだ。

カメラリモートを起動すると、iPhoneで自動的にカメラが起動して、カメラに写っている像がApple Watchの画面にも表示される。そしてApple Watch上のシャッターボタンを押してカメラのリモコン撮影ができる

 Apple Watch用のグランスは、サードパーティーのものを追加することもできる。

 グランスやアプリのインストール(追加)操作はApple WatchとペアリングしたiPhoneから行なう。

 iPhoneで「Apple Watch」アプリを起動して「マイウォッチ」というタブをクリックすると、その下にインストールしたアプリの一覧が表示される。それぞれのアプリをタップすると、グランスを表示するか否かなどの設定が行なえる。

 また「マイウォッチ」にある「グランス」という項目をタップすると、グランスの表示順の入れ替えなどが行える。

 サードパーティー製のアプリの追加は、右下の「App Store」をタップして行なう。

 追加したいアプリを「購入」または「入手」すると、まずはそのアプリのiPhone版のインストールが始まり、続いてしばらくするとApple Watchのホーム画面にアプリのアイコンが現れる。

Apple WatchのアプリやグランスはiPhone上のApple Watchアプリからインストールする。しばらくすると、Apple Watchにインストール中のアイコンが表示される

 サードパーティー製アプリの中には、新しいスタイルを予見させてくれるものも多い。

 例えば「ヤフオク!」のアプリを使えば、チラチラとスマホを見なくとも、手元の通知でオークションの進行状況を知ることができる。

 日本ではアップルの決済サービス、Apple Payは始まっていないが、「O:der」(オーダー)というサービスを使えば飲食店に到着する前にほしいメニューを注文しクレジット決済しておいて、お店に着いたらApple Watchに表示される番号を見せて商品をピックアップできる。

「O:der」(オーダー)というサービスを使えば飲食店に到着する前にほしいメニューを注文しクレジット決済しておいて、お店に着いたらApple Watchに表示される番号を見せて商品をピックアップできる

「NAVITIME」のアプリでは、時刻表を確認できる

 BMWの電気自動車(EV)i3やi8では、車の窓の締め忘れがないかを離れた場所から確認したり、車に乗る前に冷暖房をかけておいて車内を快適温度にしたり、Apple Watchからドアの鍵を開けることもできる。

BMWの電気自動車(EV)i3やi8では、車の窓の締め忘れがないかを離れた場所から確認したり、車に乗る前に冷暖房をかけておいて車内を快適温度にしたり、Apple Watchからドアの鍵を開けることもできる

 さらにスターウッド系の一部のホテルでは、フロントに寄ることなくApple Watchからチェックインして、部屋番号を教えてもらい、部屋の前まで行ったらApple Watchをかざす動作で鍵を開けることができる。

 まさに未来、といった感じではないか。

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