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2015年度もクラウドとネットワークの一体提供を推進

AWSやAzureとの接続も!NTT ComのGlobal Cloud Vision 2015

2015年04月07日 17時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月7日、NTTコミュニケーションズは企業向けサービスの全体ビジョンにあたる「Global Cloud Vision 2015」に関する説明会を行なった。登壇したNTTコミュニケーションズ代表取締役社長の有馬彰氏は、他社クラウドとの接続開始やデータセンター新設、NFVサービスの強化などについて説明した。

Global Cloud Visionは今年も着実に成長

 2011年度から年度ごとに発表されているNTTコミュニケーションズの「Global Cloud Vision」。オンプレミスのクラウド化を契機に、各国ごとに異なるシステムをグローバルで最適化。ICT環境の最適化により、企業の経営改革に貢献するという価値を提供するという目的を掲げる同ビジョンは、同社のさまざまなサービスの基盤コンセプトとなっている。

NTTコミュニケーションズ代表取締役社長 有馬彰氏

 こうしたGlobal Cloud Visionの実現に向け、同社が積極的に取り組んでいるのが、セキュリティ、マネジメント、アプリケーション、クラウド/データセンター、ネットワーク/VoIPの各分野でのM&Aだ。2014年はUCベンダーのArkadin、ネットワーク仮想化を手がけるVirtela、そして米国のデータセンター事業者であるRagingWireを買収。2015年にはドイツのデータセンター事業者のe-shelterを買収し、ヨーロッパへのリーチを拡大している。

 これと並行して、サービス、オペレーション、セールスの分野で“グローバルシームレス化”を推進。グローバルで共通仕様のサービスを増加させると共に、サービス開発やオペレーションの統一化を実現するファクトリーモデルの導入を図ってきた。具体的にはNTT Com SecurityやArkadinのサービス基盤を活用しつつ、クラウドやネットワークのオペレーションも買収したNetmagicやVirtelaに統合してきた。セールス面でもグローバルで一元的な営業体制と統合データベースを構築するほか、昨年8月には約200名のコンサルティング組織を構成し、グローバル共通品質のコンサルティングを提供している。

クラウドユーザーは7300に拡大

 主要サービスの展開実績も紹介された。まずデータセンターに関しては、サーバールームの面積で34.9万㎡に拡大。e-shelterの買収により、7.3万㎡が増分となっており、「年間で13万台のサーバーが増える。面積的には世界で3番目くらいになる」とのことだ。また、昨年度12拠点だったクラウドサービスは16拠点に拡大し、顧客数も昨年の5300から7300件に増大した。VPNの提供国/地域、契約回線も着実に増加しているという。

クラウドサービスのユーザーは昨年度の5300から7300に拡大

 ユーザー事例に関しては、基幹系/情報系システムをグローバルで統合するとともに、マネージドサービスで運用コストを下げた参天製薬やSAPの販売管理システムをクラウド上に統合したコニカミノルタなどの事例が紹介された。海外比率はまだまだ高くないものの、ガートナーやIDCなど外部の調査機関による評価も向上しており、緩やかながら認知度も上がっているという。

AWSやAzureとの接続オプションがいよいよ登場

 こうした実績を踏まえた2015年度のGlobal Cloud Visionではサービス強化に向け、「ネットワークと一体的に提供するキャリアクラウドの強化」「仮想化/Software-Definedの加速」「API機能の拡充」などの取り組みが行なわれている。

 ネットワークの分野では、Arcstar Universal Oneに「他社クラウド接続オプション(仮称)」が追加されるのがもっとも大きなトピックだ。従来から提供してきたSalesforceとの接続に加え、2015年の8月にはいよいよAWSとMicrosoft Azureへの接続オプションが提供される。これにより、Arcstar Universal Oneは接続料なしでNTT Comのクラウドにつなげるのみならず、他社のクラウドへも安価に接続できるようになる。

他社クラウド接続オプション(仮称)でAWSやAzureへの接続が可能に

 後半の質疑応答で有馬社長は、「実際、AWSのユーザーが多くなっており、自社のクラウドしかつなげないというのはもはや無理になってきた。クラウドとコロケーションを組み合わせるなどハイブリッドの形が現実的なチョイスだ」と述べ、自社クラウドのみならず、他社クラウドへの足回りとしてArcstar Universal Oneが利用できることをアピールした。

 また、ファイアウォールやWAN高速化などアプライアンスの機能をソフトウェアで提供するNFVサービス「Arcstar Universal Oneアドバンストオプション仮想アプライアンスタイプ)」においては、拠点間のみならず、モバイルやクラウド間の通信を高速化するオプションを2016年3月めどで提供する。

アプリケーションの高速化が拠点間から、モバイル、クラウドまで拡大する

(次ページ、データセンターは9箇所新設!次世代クラウド基盤も年末には)


 

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