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「Oracle GoldenGate」で運行に影響与えず

JR東日本の列車ダイヤを管理するシステム、安全に更改完了

2016年05月11日 07時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 JR東日本情報システムがリアルタイム・データ統合製品「Oracle GoldenGate」を活用し、JR東日本の在来線の輸送計画を管理する「輸送総合システム」のリプレースを、新旧データベースの同期により業務に影響を与えることなく完了した。日本オラクルが5月10日、発表した。

 JR東日本情報システムが開発・運用する輸送総合システムは、1990年より稼動開始。現在では1日に約1万2000本、輸送人員約1690万にもおよぶ、JR東日本の在来線の列車ダイヤや車両・乗務員運用などの計画業務を効率化し、車両の諸元やメンテナンス情報まで管理することで、ダイヤ通りの安定した列車運行を支えている。

 2015年にリプレース時期を迎えるにあたり、データセンターの移設なども含む大規模なシステムの切替を、列車運行という社会インフラを支える重要な業務に影響を与えることなく行なわなければならなかった。

 リプレースの対象領域は広範にわたり、中央サーバー約100台と14のサブシステム、JR東日本管内の乗務員区所や車両センターなどの100カ所を超える現場のサーバー、さらに約1400台のクライアント端末についても、着実に切替を完了させる必要があったという。

 新旧システムの並行稼動と段階的な切替を前提に複数の切替方法の案が検討された結果、「Oracle GoldenGate」による新旧データベースの同期による切替案が採用された。高品質なデータレプリケーションが可能な「Oracle GoldenGate」の信頼性や実績が評価されたという。

 「Oracle GoldenGate」によるシステム切替は3段階に分けて実施され、北陸新幹線金沢開業や上野東京ラインの開業にともなう大規模なダイヤ改正が行われた中でも、運行業務に影響を与えることなくリプレースが完了。毎日深夜に実行されるバッチ処理では、新旧データベース間でのデータ同期における遅延時間を約5分に抑えた。

 さらに、データの比較照合を行う「Oracle GoldenGate Veridata」により、新旧データベース間のデータ不一致を検知することが可能となり、通常期よりデータ更新量が増大するダイヤ改正の時期にも、安全かつ確実に切替作業を進めることができたという。

 なお、2013年5月に「Oracle GoldenGate」を採用した後、詳細設計とインストール、同期検証を経て、2014年8月より新旧データベース間の同期を開始。2014年12月から2015年6月まで、3段階にわたって本番切替を実施した。

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