この記事はコルグとノリタケ伊勢電子が共同開発した新型真空管「Nutube」についての開発インタビュー記事4回目です。これまでの記事は下からご覧ください。
1回目:「真空管はいいことない」―それでも「Nutube」が出た理由
2回目:Nutube開発者はなぜ真空管造りに蛍光表示管を選んだのか
3回目:若手エンジニア語る、真空管への思いとNutube試作品の仕様
従来の真空管に比べて省電力という触れ込みどおり、Nutubeで試作されたギター用ヘッドアンプは20V、プリアンプはわずか12Vで動作していた。一般的なギターアンプの真空管が300Vで動作していることを考えると、これは画期的だ。
低電圧動作のため小型軽量設計が可能というメリットを生かし、実際に試作されたヘッドアンプは、60W出力ながら3kgの重さしかなかった。将来的に動作電圧はもっと下げられ、さらに小さく軽く作れるという。いずれギグバッグのポケットに入るチューブアンプも夢ではないかもしれない。
最終回となるNutube開発陣へのインタビューは、なんと試作品のプリアンプ、ヘッドアンプを試奏させてもらったので、その印象をお伝えしたいと思う。また、試作品以外については話せないという条件付きだったが、Nutubeの可能性や今後について開発陣にちょっとだけ聞いている。
Nutubeは青く光る!
試奏用にはNAMMショーのデモで使われたものと同じ機材と、プリアンプ接続用にローランドのギターアンプ「JC-120」、ヘッドアンプを接続するためのスピーカー・キャビネットに、マーシャルの「1960A」が用意されていた。
電源を入れてもらって驚いたのは、まずNutubeが光るということだ。
真空管を使った機材では、それアピールする意味で、真空管の後ろからLEDの光を当るギミックをよく見かける。フィラメントの赤熱をイメージしたものだが、蛍光表示管の技術で造られたNutubeは、それ自身が発光するのだ。
少年時代に同調指示管「マジックアイ」の増幅作用を確認した経験から、蛍光表示管の応用でNutubeが作れることを思いついたという、三枝監査役のコンテクストを凝縮したような仕掛けで、これはなかなか意味の深いギミックだと思う。色もマジックアイに近いところが泣かせる。
(次ページでは、「気になるヘッドアンプのインプレッションは?」)
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