ポータブルの枠を飛び越えた、応用範囲の広いハイエンド機
Astell&Kern初のプレーヤー「AK100」が国内で登場したのは2012年の10月。当時はまだ、ハイレゾ再生に対応した携帯プレーヤーは少なく、あっても無骨な印象だったりとする中、コンパクトなボディーと洗練された操作感が際立っていた。その後、日本でもハイレゾ市場が急速に立ち上がり、コンテンツの数も飛躍的に増えた。その再生機としてAKシリーズが果たした役割は大きい。
2014年にはハイエンドの「AK240」を皮切りに、Androidベースの第2世代機が登場。これに「AK120II」「AK100II」が続き、ポータブルハイレゾ再生機のリファレンス的な存在となっている。特にAK240は印象的なデザインに加え、対応するフォーマットの豊富さや機能の多彩さという実用上のメリットも高く、市場の先頭を走る存在だ。
AK240は、携帯プレーヤーとしては非常に高価な部類に入るため、当初は購入をためらっていたが、筆者も半年悩んだ末に購入を決断した。その理由のひとつは、LINE-OUT出力から単品のシステムに接続し、DSD音源を再生した際の色彩感豊かで、鮮烈なサウンドだった。片手に収まるコンパクトな本体でありながら、据え置き機に迫り、ある意味凌駕する面も兼ね備えている。このサウンドに驚き、SACDプレーヤーからの買い替えを検討してもいいと感じたたからだ。
ずっしりと重いAK240 SSだが、こうしたAK240の持ち味を考慮すれば、据え置き機のリプレース用途でも十分意味のある選択になるかもしれない。豊富な機能と優れた使い勝手、そして類まれな高音質を秘めた製品と言ってよさそうだ。