磨き上げられたシルバー筐体は、ずっしりと重い
眼前にあるAK240 SSの重量はAK240と比べて約90g重い(約275g)。シルバーの表面はキラキラと磨きあげられており、明るく軽快な印象だが、手にすると、ほかのポータブル製品では、なかなかない重量感がある。AK240と比べた場合でも、ずっしりしている。
機能や内部の構成に関してはAK240と変更がない。CS4398を左右独立で使用し、DSD5.6MHzのネイティブ再生にも対応。256GBと大容量の内蔵ストレージを搭載しており、無線LANを使ったDLNA経由でのネットワーク再生機能に加え、光デジタル出力やUSB DAC機能を持つため、PCや他のオーディオ機器とも多彩に連携できる。ヘッドフォン出力として一般的な3.5mmピンジャックに加え、バランス駆動対応の2.5mmピンジャック(4極)も備えている。
使用パーツなども変更がないようで、これだけでは音質に差が出ないように感じる。ただし、電気的な特性の点で1点違いがある。ジュラルミンからステンレスにケース素材を変えたことで、より広くGNDを取れるようになっているそうだ。
そこでハタと思いだしたことがある。2005年ごろケンウッド(当時)が販売していた「HD20GA7」だ。このシリーズでは、内部に非磁性ステンレスを使ったシャーシを置き、その上に基板を固定していた。これは振動対策もあるが、電源、オーディオ回路、電池などのGNDを基板上だけでなく、シャーシを介して広く取ることで、GNDラインを強化することも目的だった。このアイデアは音質改善に大きな効果があったという(関連記事)。
HD20GA7の話は、今回のAK240 SSはまったく関係がないものだが、筆者がAK240 SSの音を聞いてみたいと考えたきっかけのひとつに、このときの取材経験がある。内部は見られなかったので、AK240 SSが実際どうしているかは不明だし、ケースの電気的な特性が変われば、内部の輻射や外来ノイズの影響などにも違いが出てきそうだ。だから最終的には、アイリバーの開発者がどう音作りをまとめるか次第である。あくまでも余談だが、HD20GA7を聴いたときの驚きが、AK240 SSでも得られるのかは興味津々だ。