UQコミュニケーションズは、今春から下り最大220Mbps対応のネットワークを提供、それに合わせて対応ルーター2製品を発表した。発表会では同社の野坂章雄社長が登壇し、新ネットワーク/新製品の説明とともに、ヘビーユーザーが気になる今後の通信量制限の問題など、今春以降の同社の戦略について説明が行なわれた。
キャリアアグリゲーションと4×4MIMO
220Mbps対応ルーター2製品は異なる技術を用いる
まずは従来から倍速化された新WiMAX 2+について。今回下り最大220Mbpsに対応したモバイルルーターは2製品発表されたが、その倍速化の手法は2台で異なっている。
まず1つ目はキャリアアグリゲーション技術の採用。UQコミュニケーションズは30MHz幅の周波数でWiMAX、その後追加で20MHz幅の割当を受け、こちらではWiMAX 2+のサービスを提供している。前者のWiMAXの30MHz幅のうち、20MHz幅をWiMAX 2+に切り替え、20MHz幅+20MHz幅の組み合わせで倍速化するというものだ。
ただその切り替えをするとWiMAXの周波数が少なくなる、つまり低速化する(下り最大40Mbpsから13.3Mbps)ため、WiMAXの需要がまだ大きい都心部などでは一気に移行することは困難で、今春から順次ということになる。
2つ目は4×4MIMO技術の採用。MIMOは無線LANなどでも用いられており、複数アンテナで同時に通信することで高速化する。従来のWiMAX 2+は2×2MIMOだったが、これを送受信とも4つのアンテナを用いる4×4MIMOで倍速化される。
モバイルルーターのような小型端末に4つのアンテナを実装して同時に送受信し、演算処理を行なうには、大きなチャレンジがともなったとのことで、モバイル通信で商業的に4×4MIMO対応端末をリリースしたのは世界初となる。ただ、基地局側は4×4MIMOへの準備は整っていたこともあり、基地局のソフトウェアアップデートによって、今年3月に一気に全国エリア化が行なわれる。
ちなみにキャリアアグリゲーション/4×4MIMOどちらの下り最大220Mbps対応でも、実測的にはほぼ同等の通信速度とのこと。ただ前述の理由で当初は4×4MIMOでの高速化の方がエリア的に有利になりそうだ。
WiMAX 2+でも基本的に通信量に制限無しの新プラン
3日3GBを超えた場合も“使える”レベルの速度に
続いての話題が、WiMAX 2+使い放題の新プラン「UQ Flat ツープラス ギガ放題」だ。
WiMAX 2+は契約から2年間使い放題として提供が開始されたものの、それ以降はLTEスマホなどと同じく、月7GBの通信量の上限が設定されており、また2015年4月以降は「直近3日間で1GB以上通信した場合に、通信速度を制限する場合がある」という注意書きがあった。
しかし、初期のWiMAXサービスが、特にヘビーユーザーに人気を呼んだ理由は、通信量に制限がなく、使い放題だったこと。これはUQコミュニケーションズ側もよく理解している点であり、実際の制限が始まる前に、何らかの対応が行なわれるのでは? という予測が各所で見られた。
それに対するUQ側の回答が、「UQ Flat ツープラス ギガ放題」(月4380円、税抜)である。料金は現状の「UQ Flatツープラス」(月3696円、税抜)と比べて、若干値上がりするものの、月間の通信量に上限は無い。
また前述の注意書きについても、「直近3日間で3GB以上」と緩和されて導入されることになった(ギガ放題/従来プランとも)。またこの通信速度の制限が入るケースでも、一部キャリアにおけるほとんど使い物にならないような遅さではなく、「(YouTubeが再生できる)700kbps程度の速度は出せるようにする」とのことだ。
もちろん使い放題のWiMAXと比べると、現実に制限があることは確かで、その点は同社野坂社長も認めていた。しかし、極端に通信量を使って帯域を占有するユーザーと平均的なユーザーとのバランス、またサービスを提供する上での効率を考えると、必要な取り組みだとしてユーザーに理解を求めた。
「UQ Flat ツープラス ギガ放題」は2月20日から開始で、月7GB上限付きの「UQ Flatツープラス」とは併存され、月単位でプランを切り替えることが可能。「UQ Flatツープラス」で新規契約から2年間、通信量が無制限になるキャンペーンは2月19日で終了となる。
なお、既存のWiMAXユーザーが、0円でWiMAX 2+ルーターに切り替えられる「WiMAX 2+ 史上最大のタダ替え大作戦」は下り最大220Mbps対応ルーターでもそのまま展開される。また、2月19日までに端末を購入して「UQ Flatツープラス」に加入すれば、従来のキャンペーンの適用により、2年間は月3696円でギガ放題と同等のサービスを利用できるため、特にオトクであるとアピールしている。
WiMAXは当面継続するも
WiMAX 2+への移行を推進
囲み取材に応じた野坂社長は、低速化するWiMAXの今後については現時点では終了時期などを決めているわけではなく、当面続けていく予定とのこと。また、東名阪の市街地ではユーザー数が多いこともあり、WiMAXからの周波数の切り替えはなかなか大変とする。だからこそ、周波数の利用効率が高く、ユーザーにとってもメリットがあるWiMAX 2+にぜひ乗り換えていただければと語った。
そのために必要なのが、WiMAX 2+のサービス内容の詳細な説明。同社が力を入れるのはもちろんだが、メディアによる情報提供についても、集まった記者などに繰り返しお願いをしていた。またWiMAXのもう1つのメリットとして、WiMAXモジュール内蔵PCの存在もあるが、こちらもWiMAX 2+対応PCの登場を示唆した。
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