GoAzure 2015直前!今改めて考える「車輪の再開発はもうやめよう」
「虎の子」の.NETをオープンソース化したインパクトを探るの巻
2015年01月15日 06時00分更新
クラウド界隈の人たちをゲストに迎え、お酒を呑ませてフリートークを炸裂させようという「飯田橋クラウドクラブ(略称:イイクラ)」。Microsoft Azure編も今回で最終回。前回に引き続き、GoAzure 2015直前のデプロイ王子とパクえ先生が.NETオープンソース化と2015年のクラウドサービス動向について占う。
今回の登場人物

デプロイ王子:アイレット株式会社 cloudpack事業部 シニアソリューション アーキテクト廣瀬一海。デプロイ王子としておなじみのMicrosoft Azureの第一人者。MVP(Microsoft Most Valuable Professional)受賞者だが、AWSのサービスにも詳しい。

パクえ先生:co-meeting取締役 External facing CTO 吉田雄哉……というか、パクえ先生。パブリッククラウドエバンジェリストとして、国内外のクラウドベンダーのサービスや動向について日々多くのセミナーや講演会に登壇している。というか、「登壇していた」。

MB得上:マイニングブラウニー代表取締役 得上竜一。Webクローリングや機械学習に詳しい一匹狼。JAWS-UG代表だったのにクラウド界隈をかき回す厄介な人として、TECH.ASCII.jpでもおなじみ。最近は機械学習(ML)分野でMicrosoft Azureにご執心。
TECH大谷:TECH.ASCII.jpの担当記者 大谷イビサ。今回連載のホスト・執筆者。お酒で舌をなめらかにして、Microsoft Azureの話を聞こうとしている。なんとカメラを自宅に忘れ、使い慣れない編集部の一眼を使ったら、写真がトホホになってしまいました。
.NETをオープンソース化は「予想」より「期待」だった
TECH大谷:マイクロソフトも長らくオープンソースにコミットしてきた。昨年のCEO交代でマイクロソフトの開発者に対する姿勢がますます前のめりになってきた。そこで、昨年のConnect();の発表内容ですね。
デプロイ王子:.NETってある意味マイクロソフトにとって「虎の子」じゃないですか。これをオープンソース化するって「これを開発者が使ったら、楽になるよね」という純粋な理由があると思います。実際、オープンソースの開発環境使っている人から見るとかなりいい。もちろん、ネイティブで動くのがいいのですけど、MacやLinuxの開発者は「Visual Studio online (Monaco)」を使って、ブラウザで開発するという手段ができた。もちろん、SCMやコラボレーションにはGithubのような使い慣れたものでOKです。
TECH大谷:廣瀬さんは今回の.NETオープンソース化も予想していました?
デプロイ王子:予想というか、期待はしていましたね。こうなるといいなあと。もともと次期Visual Studio 2014で採用される.NETコンパイラのRoslynだけは去年からオープンソースになっていたので、布石はあったのですが。
TECH大谷:マルチプラットフォーム開発という面も進みました。
デプロイ王子:マイクロソフトは長らくスマートフォンをはじめとしたクライアント分野で出遅れていたけど、2008年くらいから1つのアプリが、PCでも、Windows Phoneでも、X-boxでも、動くという構想自体は持ってました。その点、先日の発表では.NET系の技術でマルチプラットフォームの開発を実現できる「Xamalin」と、「Visual Studio Community Edition」が連携できるようになりました。これは大きいですね。
パクえ先生:読めなかったけど、「ザ・マ・リ・ン」ね。
デプロイ王子:あとは、HTML5ハイブリッドアプリを志向する「Apache Cordova」の開発がVisual Studioでサポートされた点も興味深いです。
TECH大谷:どこらへんを狙っているのでしょうねえ。
デプロイ王子:まずはWindowsやVisual Studioでオープンソースの開発をしている人がターゲットですよね。Bing付きのWindowsは、8インチ未満でもはや無償化されているので、これを入手してオープンソースな開発を進めるのがよいのではないかと思います。
TECH大谷:しかも、今回はVisual Studio無償版提供ですよ。
パクえ先生:確かに、EclipseもIBMがオープンソース化したじゃないですか。だから、際だって新しい動きとは言い切れない。でも、日本人は特にマイクロソフトの悪いイメージが強いから、オープンソース化のインパクトを大きく感じるのかも。それにしても無償はすごい。あれってフル機能なのでしょ。
デプロイ王子:要はVisual Studio Premiumっすよ、アレ(笑)。聞いた時には、茫然自失したね。機能面で見たら、制限はほとんどない。思い切ったなあと思いました。ただ、オープンソースコミュニティと開発者には、無償で提供しようよって話は以前から話あったのです、これが実現したのですね。
(次ページ、車輪の再発明はもうやめよう。新しいモノを作ろう)

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