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飯田橋クラウドクラブ(略称:イイクラ) 第6回

GoAzure 2015直前!今改めて考える「車輪の再開発はもうやめよう」

「虎の子」の.NETをオープンソース化したインパクトを探るの巻

2015年01月15日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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車輪の再発明はもうやめよう。新しいモノを作ろう

TECH大谷:オープンソース周りとか、市場へのインパクトはどうですか?

デプロイ王子:厳しいシナリオもあります。たとえば、GNUは.NETのランタイムとコンパイラがオープンソース化されていない段階では、そのコンパイラを使って開発された製品は、オープンソースのソフトウェアとする事に危機感を持つという表明を出していましたし。とはいえ、Roslynのように最新の.NETコンパイラもオープンソースで公開された。だから、すぐにとは行かないかもいかないけど、僕はGCC(GNU Compiler Collection)と同じような扱いになるといいなと期待しています。

パクえ先生:日本ではソフトウェアの保証の問題から、いまだにオープンソースはサポートできないからダメという会社もある。でも、サポートされている範囲内であれば、オープンソースの上に載せられるものが作れる可能性が出てきた。これはパッケージベンダーにとっては大きなメリットだと思うんです。開発ツールもオープンなものが使え、DBのライセンス持ち込みもできて、これらをパーツ単位で入れ替えられるようになると、やっとクラウドらしいメリットが出せると思うんですよ。

TECH大谷:日本は特にパッケージソフトベンダーが動くと、業界的に変わりますね。

パクえ先生:先日のAWSの強烈な新発表で、開発やデプロイ系のツールを揃ってきた。うがった見方をするとAWS vs Azureになるんだけど、逆に言えば結果的に両者が比較しやすくなっている。日本のレガシーな人たちがようやくクラウド使えるようになるなと思いますね。Windowsに慣れ親しんで、.NET使っていた人が作ったモノがLinuxでも動く。Dockerにぶち込めば、どのクラウドでも動く。こんな世界が一番将来の可能性として大きい。

デプロイ王子:よくクラウドがロックインするという話が出ますが、OSと言語はすでにロックアウトし始めてますよね。どれでもいいんじゃない?ってなった。だから、AzureはDockerやCoreOSに対応して、1つの言語でいろんなところで動かせばいいんじゃないとなった。今回の.NETオープンソース化もその流れがあったと思いますよ。

MB得上:もはやプラットフォームでは差別化できなくて、その上の付加価値で勝負するしかない。どこのクラウドがとか言っていたら、もう遅いでしょう。

デプロイ王子:先日VMwareの偉い人が、冗談まじりに「まさか本屋の後塵を拝すとは!」って言ったらしいけど、最近は「OSという概念」もはや「クラウドという概念」すら、もうあっち側に言ってしまっているのかもしれない。コンセントの形状とか、その程度の違いしかない。クラウドの違いを意識しなくなるのは、もう5年以内じゃないかなあ。

パクえ先生:Dockerの話もそうですが、その時期がもっと近くなった気がしました。

デプロイ王子:「伽藍とバザール」にあったようなオープンソースのコンセプトの通り、Visual Studio Communityを使って、多くのオープンソースソフトウェアが開発されたらいいなと思っています。 既存のクラウドサービスとすでに同じものを新たに作るのであれば、「車輪の再発明」ではなく、サービス指向でマーケットアウトなクラウドサービスを使うべき。僕らは新しいモノを作らなければいけないんです。

最後はマンゴープリンで締める3人でした!ありがとうございました。

Microsoft Azure編(2014年)完

飲み屋トーク③ 国産クラウドの生きる道を考える

TECH大谷:このメンバーなんであえて聞いてみたいんですけど、みなさん国産クラウドってどうお考えですか?

デプロイ王子:「世界にうって出ろ」というのはもはや違う気がします。逆に国産クラウドって、グローバルラインのクラウドとオンプレミスの間をすごくうまく埋めていて、そこにビジネスとしての勝機があると思っているんですよ。実際、グローバルクラウドだからこそ提供できていないものもあり、いいプロダクトだなあと思う時ありますよ。

MB得上:実際、ニフティクラウドのキューイングは最強です!

デプロイ王子:もう1つ、グローバル展開する日本の会社におつきあいできるのは、やはり国産の会社なのかなと思います。

MB得上:そこで重要なのは「アポトーシス(細胞の自然死)」です。人間の体って、1年半で細胞全部変わるじゃないですか。その概念を海外勢は持ってるんですけど、国産勢は1つのものを大切にするんです。その思想の違いで棲み分けができている気がします。

パクえ先生:僕は国産クラウドの人とけっこう仲いいのですが、国産クラウドがよくないように見えるのって、ユーザーのせいだと思うんです。GMOさん、NTT Comさん、IDCFさん、一律で500円クラウドにしちゃったじゃないですか。あれってなぜかというと、絶対使わないにもかかわらずSIerが最低構成で見積もり組むからです。でも、0.8CPUとか回らないから、2日で構成変わるわけですよ。

MB得上:あんな構成、絶対使わないですよ(笑)。

パクえ先生:国内のユーザーが今まで通りモノを買う感覚で構成くれというから、そうなるんです。でも、国産クラウドって、データセンター自前で持ってたり、実はけっこう色がある。なら、その特色を活かして、メインはグローバルクラウド使うんだけど、大事なモノは国産クラウドといったミックスを提案してほしい。国内法令的に外に出したくないものってあるし、今のところAzureとAWSが同時に落ちたことはないけど、可能性としてはなくはない。BCP面で、それをきちんと担保できる仕組みが必要な会社もあるはず。

TECH大谷:「Amazonより価格安いから」じゃなくて、そういうところをアピールして欲しいと。

パクえ先生:グローバルクラウドのように変わっていくよさもあるけど、国産勢のように変わらないよさもあるんです。あと、国産クラウドって、ネットワーク的にIX近くのすごい上流にいるじゃないですか。ってことは、自分の真横にあるのと同じ感覚で使えるわけです。

デプロイ王子:すごい海外への抜けがいいサービスとかあるものね。

パクえ先生:でも、お客やメディアからは、AWSやAzureと比べてどうなの?と聞かれる。そこはかわいそうだなと思う。

TECH大谷:確かに私も聞いてますね。

MB得上:同じ土俵に置くのが間違っていますね。

デプロイ王子:もっと言うと、グローバルと同じクラウドをやる必要はない。日本人が求める日本のサービス指向があるのだから、それを提供すればいいでしょう。これからクラウドが社会インフラになるにあたって、自国のインフラをよその国の業者に預けていいのかという根本的な議論は出てくる。その議論では、今まで日本で培ってきたキャリアグレードみたいな感覚はすごく重要だと思います。

パクえ先生:利用者側がどれをどう組み合わせるかが重要なのに、いかんせん宗教論争になりがちなのはもったいないなあと思います。ユーザーを導いてくれる存在がいないのが問題だなあ。


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