覚えておいて損はない!
救命胴衣の付け方とふくらまし方
飛行機が飛び立つ前には、必ず救命胴衣のふくらまし方の説明ビデオがある。しかしCAがビデオと一緒に生で実演してくれる場合でも、実際にふくらますところまではデモしてくれない。
またビデオでは簡単そうに見えても、イザ自分視点で装着しようとすると、ちょっと戸惑う場合もあるので、自分視点の写真も加えつつ、装着の手順を見てもらいたい。
1)座席の下などから救命胴衣を取り出し広げる
機種や座席によっても異なるが、たいてい座席の下から取り出す。小さく折り畳んである救命胴衣を広げると、頭を突っ込むU字型の前襟部分とセーラー服の後ろ襟のような部分がある。装着のしかたなどが記載された印刷面を外にして、前襟の穴に頭を突っ込む。
2)後ろに手を回してヒモを掴む
救命胴衣はレジャーシートのような少し硬い素材でできているので、頭が大きいとかぶりづらいかもしれない。とはいえどんなに頭がデカイ人にも対応しているので、とにかく突っ込む。
クビを通したら後ろ襟の左右から出ているヒモを掴む。ヒモに左右があるため、装着の中で一番難しいが、あっさりできてしまうときもある。
3)お腹に持ってきたヒモをフックに引っ掛け締める
お腹には背中から回してきたヒモを引っ掛けるフックがあるので、左右のフックをヒモにロックする。最後に「WAIST STAP」(ウェストストラップ)と書かれたタブを引っ張って、しっかり装着。もしヒモを締めすぎてしまっても、ワンタッチで緩められるから安心だ。
4)このままCAの指示があるまで待機
救命胴衣には写真のような赤いレバーも付いているが、これは救命胴衣をふくらますためのスイッチなので、絶対に機内で引っ張らないこと。
一度ふくらむとコルセットでクビを固定したように動きが取りづらくなるだけでなく、しぼませるのにかなり手間がかかる。
万が一機内が浸水してしまった場合、ふくらんだ救命胴衣を着ていると、一度水に潜ってドアを脱出することができなくなる。もし機内のアチコチからバシュ!っとふくらませる音が聞こえても、CAの指示があるまでは、絶対にふくらまなさないこと。
5)衝撃防止姿勢を取って着陸
緊急着陸する場合は、以前お伝えしたとおり衝撃防止姿勢を取る。「頭を下げて!Head down!」の声がかかっている間は常にその姿勢を維持して、できれば座席から体をはみ出させないようにするのがいい。
2012年に科学専門チャンネルが行なった実験(関連リンク)では、衝撃防止姿勢が着陸時の衝撃を和らげるだけでなく、前後のシートの影に身を隠すことで、衝撃で飛んでくる鋭利な金属などから体を守れることも証明していた。
6)着陸後CAの指示でヒモを引いてふくらます
救命胴衣には2つの赤いレバーが付いたヒモがあるので、これを引っ張ると2秒ほどでペッタンコだったものがパンパンにふくらむ。片方を引くと上段がふくらみ、もう片方を引くと下段がふくらむが、現在は上下段に分かれていないものもあるという。
7)ふくらみ過ぎや足りないときはホースを使う
救命胴衣のふくらみが足りない場合や、ふくらみすぎて辺りが見回せないという場合は、ふくらみの調節ができる。足りない場合は左右にある赤いホースに息を吹き込めばOK。
逆にパンパンで左右に首を振れずに周りが見渡せない(首を絞められることはない)という場合は、ホースの先についているバルブを指で少し押してやると、中の空気が抜けるようになっている。
8)他にもサバイバルな仕掛けが色々
救命胴衣には、フラッシュライト機能なども付いていて、胸にあるタブを引くと肩の防水型フラッシュライトが点灯する。また腰の小さなポケットには、フックが付いた1mほどのヒモが入っており、漂流している人同士で連結するなどの使い方もできる。
乗務員向けの防火マスクも搭載
飛行中に機内で火災が発生した場合、その対応に当たるのもCAの仕事。もし狭い空間などで火災が発生した場合は、酸素がなくなっている可能性があり、また温度も上昇している。そこで機内には、簡易消防フード(Smoke Hood)が搭載されている。
箱から中身を取り出し、ボンベのバルブを開くとフード内に空気が供給される。これを頭にスッポリかぶれば有害な煙を吸うことなく、黄色いフィルム越しに煙の中の視認性が高まるというものだ。
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