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降雪量日本一の空港で飛行機が安全に飛び立つための取り組みを紹介

豪雪の青森空港でJALに密着! 離陸に必要なディアイシングとは

2015年02月20日 09時00分更新

文● 八尋/ASCII.jp

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機体に積もった雪を除雪し、積もらないように溶液でコーティングする「ディアイシングカー」の作業に密着

 冬の寒い時期、雪が降ってしまうと遅れたり混乱してしまう交通機関。ニュースなどで交通機関が停止したことでパニックになっている映像をしばしば見かける。中でも気になるのは飛行機だ。

 そこでふと思ったのが、一夜にして雪が積もってしまう雪国の空港では一体どうしているんだろうということだ。今回青森空港で、日本航空(以下JAL)の積雪に対する取り組みについて取材させてもらったのだが、九州出身の私は除雪とか、除雪とか、除雪とかやってるんだろうなーと思っていた。取材前までは。

 冬の青森は、予想を遥かに上回る寒さだった。そんな寒さの中で飛行機が安全に離発着できるよう働いている方々に、日々の作業について話しを聞いた、紹介しよう。

飛行機に雪が積もると危険!

 まず説明されたのが、飛行機に付着する雪や氷を取り除く「ディアイシング、アンチアイシング」という作業。飛行機は、国際的な決まり「クリーンエアクラフトコンセプト」により、機体への着氷雪が発生する状況において、翼、プロペラ、操舵面、エンジンインレットなどの重要表面(航空会社によって異なる)に氷や雪が付着したまま離陸できないという決まりになっている。

取材に協力いただいたJALの青森空港所属スタッフ。左から佐藤守氏、中村英夫氏、藤田勝義氏

 飛行機のエンジン吸気エリアや主翼前縁翼には熱風を送る装置を、操縦席窓や機体前方についている機速計測センサー、気圧計測センサー、外気温計側部にはヒーティングするための電熱線を搭載する。しかし、翼や胴体に雪を解かす装置は付いていない。特に翼の上面に雪が積もると、揚力が低下するリスクが高くなってしまう。離陸時の加速で雪を飛ばせそうな気もするが、凍り付いているので無理なのだという。そこでディアイシング、アンチアイシング作業が必要になってくるのだ。

ディアイシング・アンチアイシングってどんな作業?

 ディアイシングとは、主翼に着いた雪や氷を取り除く作業で、アンチアイシングとは雪氷が着かないよう予防する作業だ。どちらにもグリコール液と水を混ぜ合わせた液体「Anti-Deicing-Fluid(ADF)溶液」(外気温に応じて濃度を変える)という空港機用の防除雪氷液を使用する。

 ディアイシングは、空気で雪を飛ばす「ブロアー」と、「タイプ1」と呼ばれる70度に加熱した防除雪氷液を使用して雪氷を除去する作業。アンチアイシングは「タイプ4」と呼ばれる高濃度のグリコール液を使用して、作業後に降る雪を防ぐためにコーティングする作業だ。

「タイプ1」と「タイプ4」が入っているタンク

(次ページ「ディアイシング・アンチアイシング作業のための『ディアイシングカー』とは」へ続く)

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