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記者の耳 ちょっとそこらで聞いた話

フィンランド人は会社で全裸になる

2014年12月07日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 「日本の風呂とフィンランドサウナの共同展」(1997年)公式図録によれば、日本の風呂の原点はフィンランド式のサウナにあるそうだ。

 もとは石室や洞穴に火を焚き、灰をかきだして中にこもるという輻射熱浴を起源とするが、やがて湯釜を熱して蒸気を出すスチームサウナ形式の風呂屋形に発展したという。

 どうしてそんなことを言いはじめたのか。記者であるわたしがなぜかフィンランド大使館のサウナに招かれ、バスローブ1枚で上記の図録を読んできたからだ。

 社会に出て10年になるが、仕事で全裸になったのは初めてだ。フィンランド大使館の館内にサウナがあるのも初めて知った(しかも大使用と職員用の2つがある)。

 しかしフィンランド人にとって、仕事で全裸になるのは日常茶飯事らしい。

 「日本人は居酒屋、フィンランド人はサウナで商談をする」

 スマートフォンゲーム「アングリーバード」を開発するフィンランドのゲーム会社ロビオ・エンターテイメント日本法人のアンティ・ソンニネン元COO(現在は国内ベンチャー、ビートロボに移籍)は、冗談交じりにそんなことを言っていた。

 「サウナ外交」なんて言葉があるように、フィンランド人にとってサウナは娯楽の場所であると同時に、大切な交渉の場所としても使われてきたそうだ。

 大使館員によれば、ウソのようだがフィンランドの企業はほとんど全てと言っていいほどサウナを設置しているらしい(国内およそ200万のサウナがあるとか)。社員のリフレッシュのためもあるが、取引先とサウナで腹を割って話すことで、取引をスムーズに進める意味もあるそうだ。

 人口わずか549万人ほどのフィンランドで、国内企業が狙うのは海外市場。国内企業同士は競争するより共同戦線を張って海外展開を進めるのがセオリーだ。国内での交渉は手早く済ませ、さっさと海外で勝負しようというのがフィンランド流なのだろう。

 実際、今年初めにロビオやスーパーセルといったフィンランドのゲーム企業を取材してきたが、企業間の競争意識が低いことには驚かされた。むしろ官民を通じ、産業全体をあげてフィンランド製のゲームを売り出しにかかっている感が強い。

 フィンランドのゲーム産業は、売上ベースで2008年から2013年までのわずか5年間で約120億円から約1260億円へと10倍以上に急成長したという。

 日本人のように取引先の趣味を聞き、接待の場所を決め……と数日間かけて堅苦しい商談を設定するより、自社のサウナに取引先を呼んで、1時間ばかり裸で本音をぶつけ合う方が早そうだ。フィンランド企業の成長を影で支えているのはサウナ・パワーなのかもしれない。

 なお最後になるが、タイトルで何かを期待された方には申し訳ないことをした。フィンランドには「混浴サウナ」もあるそうなので、ぜひ現地で本場のサウナを体験してほしい


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