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記者の耳 ちょっとそこらで聞いた話

ビットコインに永遠の愛を刻んだ男性

2014年11月09日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 「ビットコインにプロポーズの言葉を埋め込んだ」──

 情熱的かつサイバーな愛の告白をしたのは、プルーフオブミー(Proof of Me)の大石哲之代表だ。P2Pのデータ取引で成立する仮想通貨ビットコインのデータに、ハッシュとして愛のメッセージを刻み込んだ。地上からビットコインの仕組みが消えない限り、メッセージは永遠に残り続ける。

 プロポーズの言葉と取引データは「ユキ、結婚してくれないか? テツ」(Yuki will you marry me ? Tetsu.)。そして返事は「はい、お受けします。ユキ」(Yes I will. Yuki.)だ。おめでとう。

 海外のビットコインビジネスに詳しい日本デジタルマネー協会代表の本間善實理事によれば、ビットコインビジネスは近年、ビットコインの仕組みを応用した「ビットコイン2.0」に移りつつある。

 ビットコインの発想を端的に言えば、政府をはじめとする中央機関の「認証」機能を分散技術で代替、デジタル化するものだ。ビットコインの場合、仮想通貨が誰から誰に渡った(売買された)という取引履歴を証明するために分散型暗号化データベース技術「ブロックチェーン」が使われている。

 ビットコイン2.0は、ブロックチェーンによる「認証」技術を応用し、デジタルコンテンツの電子証明にしようという動きだ。企業向けにはSSLサーバー証明書のような認証技術があるが、個人向けの証明書ビジネスが展開できる。契約書のような文書はもちろん、音声・画像・動画などのデータ領域もカバー可能になる。

 ビットコイン2.0の事業者には米エセリウム社などがあり、冒頭のプルーフオブミーもその1つ。現在は英語40字、日本語13字のメッセージをハッシュとしてビットコインに刻印するサービス「シンプルメッセージ」を展開する。今後は同じ仕組みでネットに上げたイラストに電子証明を発行し、盗用防止のような機能も実現したいと大石代表。

 「DNAのハッシュを入れて残す『ブロックチェーン葬』もやりたいと考えている」(大石代表)

 数億年後、人類が絶滅したあと地球を訪れた知的生命体は、データベースに残されたハッシュにわたしたち人類のすべてを知ることになるのかもしれない。(ネットワークが生きていればだけどね)


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