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記者の耳 ちょっとそこらで聞いた話

フェイスブックが日本人に学んだこと=ザッカーバーグCEO

2014年10月18日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 16日、フェイスブックの新機能「災害時情報センター」発表に合わせ、創業者マーク・ザッカーバーグCEOが来日。新機能は東日本大地震発生時、フェイスブックを家族や知人の安否確認に使っていた「日本にインスピレーションを受けた」といい、「日本はフェイスブックと関係が深い国」とも話した。

 デスクトップ中心で運営し、スマートフォンへの対応が遅れたことを「フェイスブック最大の過ちだった」と認めたザッカーバーグCEO。「よく客が使うプラットホームに安住してしまい、新しいものにチャレンジしないという罠にはまってしまった」とした上で、「モバイルについて学習できる場が日本にあった」と話す。


「プロフィールに血液型」はカリフォルニアでは思いつけない

 「日本はつねにモバイルで最先端を行っていた」(ザッカーバーグCEO)

 いまでは実に日本人利用者の95%がモバイルでアクセスしている。サービスの品質についても、欧米人より厳しい日本人のこだわりを意識して開発してきたという。

 「米国や他国では(サービスが)多少洗練されていなくても採用されるが、日本においては高い品質でなければ採用されない。職人の製品が出回り、(高い品質に)慣れ親しんでいる日本はハードルが高い」

 フェイスブック日本版の月間利用者は2008年の15万人から2300万人へと100倍以上にふくらんだ。6年間で、モバイル向けにQRコードを開発したり、「関西弁」機能を導入したりと、日本ならではの展開をしたとザッカーバーグCEO。「プロフィールに血液型を表示する」機能はカリフォルニアでは思いつかなかったと笑う。

 「まだまだやることは残っていると感じる。日本はインターネットが最も進んでいる国。まだフェイスブックが影響が与えられる規模になるまでは道のりが長いが、かなりの時間を日本に費やしてきた」


日本に学んでスマートフォン対応、次は「オキュラス対応」

 日本生まれの「災害時情報センター」に代表されるように、何を食べた、何を見たという声を共有するソーシャルネットワークサービスとしてスタートしたフェイスブックも、今では災害発生時に市民を支える公共インフラになりつつある。向こう10年は日本でいう「119」など緊急回線の発想で、無料で使える機能を増やしたいとザッカーバーグCEO。ザンビアで開始した無料通信インフラ「インターネット・ドット・オルグ」もその1つだ。

 スマートフォン対応の遅れに学び、ゴーグル型ディスプレイを開発するオキュラス社を買収、スマートフォンに続くハードウェアプラットホームへの投資を進めている。「今後10~15年であらわれる新たなプラットホームに対応する。2020~2025年にはARかVRがプラットホームになるはずだ」とザッカーバーグCEOは予言する。

 なおフェイスブックでは同日、日本で初めてとなる60秒のテレビコマーシャル、および交通広告・デジタル広告の配信を開始している。フェイスブック日本法人代表取締役の岩下充志社長は「フェイスブックが今後どんな方向に向かおうと、(日本での)パートナー企業の成功を忘れない。日本へ投資していく」と語った。

フェイスブック日本初のテレビCM。交通広告も同時展開している

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