Photoshopが月額980円、だけじゃもったない!
「フォトグラフィプラン」の魅力に迫る
アドビが6月末に、Creative Cloud(以下CC)のプランの内の1つとして、PhotoshopとLightroomをふくんだ「フォトグラフィプラン」という新サービスを開始した。レタッチソフトの王様的存在とも言え、最近では3Dプリンターへの出力などにも対応するPhotoshopが月額980円で利用できるというものだ。
写真家やデザイナーなど画像を扱うことを職業にしている人だけでなく、「フリーソフトで済ませているけど、Photoshop使ってみたいなあ」という人、もっと言うと「よく知らないけど、Photoshopってすごいんでしょ」という人にとっても、月額980円というのは、充分に魅力的な金額ではないだろうか。
同社がクリエイター向けのイベント「Adobe Create Now 2014」内で大々的に発表したこともあり、すでに契約数は好調な伸びを見せている(アドビ マーケティング本部 デジタルイメージング製品担当グループリーダー 栃谷宗央氏)という。
ただ、栃谷氏は「お手頃価格でPhotoshopとLightroomが使えるという印象になっていると思うんです。さらにプラスアルファの価値があるのに……すごくもったいないですよ」とも話す。本稿では、栃谷氏へのインタビューを軸に、フォトグラフィプランの魅力や、プランを活かし切る活用法、また月額980円という思い切った価格に込められた考えを探っていきたい。
どうしてスマホでRAWが扱える?
—— 「もったいない」というのはどのあたりでしょう?
「フォトグラフィプランのもう1つの大きなポイントは、Lightroom Mobileが使えること。PC版と同じような作業が、モバイル版としてiPhoneやiPadでできてしまう点です。これはRAWデータがiPhoneやiPadで編集できるということです。もちろんJPEGデータもOKです。
—— RAWをiPhoneで扱えるんですか? データ容量が……。
「これには仕掛けがあります。何かというと、『スマートプレビュー』という技術なんです。スマートプレビューはJPEGでサムネイルを作っておいて、PC上のLightroomでは擬似的にRAWに見せるというテクノロジーです。iPhoneやiPadで編集する際は写真に擬似的に情報を入れているだけで、オリジナルのデータには影響しないんです。書き出しや別名保存をした場合だけ、例外的にオリジナルのRAWデータを処理しているんですね。
RAWデータってサイズがとても大きいですよね。普段は外付けのHDDに入れておいて、使うときだけ取り出すという方も多いと思います。デバイスの中にRAWデータを引っ張り込むと、あっという間に容量がいっぱいになってしまう。でも、擬似的なJPEGであればデータは軽いし、編集データはテキスト形式なので数KBです。しかし最終的にウェブを経由してデスクトップで処理をする際には、編集データが反映されるので、RAWデータを編集したのと同じ作業をしたことになるんですね」
—— なるほど、そういう仕組みですか! クラウドの時代ならではですね。
「さらにLightroom Mobileは、タッチジェスチャーにも対応しています。例えばこの三本指をこうやって置いて(スワイプする)……ビフォー/アフターを表示できます。(編集を)やりすぎておかしくなったとき、『あれっ?』て思ったときに、すぐに今までどうだったかを確認できるんですよ。
あとは“同期”ですね。Lightroom Mobileアプリに『同期』のボタンがあるんですよ。(モバイル版から)押すと、デスクトップ版とリンクされます。フォトグラフィプランの主なターゲットは、一眼レフを持っている方々ですが、そういう方もずっと一眼レフを持っているわけではないですし、スマートフォンで撮るケースもあると思うんです。そういったときにもデスクトップとすぐ連携して、スマートフォンで撮った写真をデスクトップで編集したりがすぐにできる」
—— 見てると、同期が完了するのもすごく速いですね! この機能が浸透していない点が「もったいない」ということでしょうか?
「それもありますが、フォトグラフィプランはもう一段進んで、ソリューションとして使って頂けるのが大きなところなんです」
—— ソリューション?