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Adobe Creative Cloudのこれから

なぜ、Photoshopが980円で使えるようになったのか

2014年10月04日 11時00分更新

文● 貝塚/ASCII.jp編集部

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「値段づけがおかしいんじゃないか?」という声もあった

—— Photoshopの単体プランは月額2180円(年間プラン/月々払いの場合)で、PhotoshopとLightroomが付いたフォトグラフィプランは月額980円。主な違いはクラウドストレージの容量ですが、フォトグラフィプランの方は安い上にLightroomが使える……内容を見ていると、これからはPhotoshopの単体プランでなく、フォトグラフィプランを選択する人が増えそうに思えます。

 「いいところを突きましたね。社内では『値段づけがおかしいんじゃないか?』という声もあったんですよね(笑)。私も初めて価格をきいたときは、『えっ』と思いましたよ。おっしゃる通り、現段階ではフォトグラフィプランの販売は非常に好調です。元々は昨年からキャンペーン的に提供していたんですけれども、非常に多くの反響があったので、新しいラインアップとして加えたということになります」

—— それにしても、980円とは……。あらためてかなり思い切った価格ですよね。

 「そう思います(笑)。だって、CSまでは8万円とか10万円とかしていたんですよ! それもPhotoshopだけでですからね。

 実はCS6のときにアドビのサポートポリシーが変わりまして、1つ前のバージョンまでしかアップデートの対象にならなくなったんですよ。なので、例えばCS3を更新しようとしたら、10万円ぐらいかかってしまう。そのはずが、いまではこうですからね(笑)。

 さらに言うと、出版業界やデザイン業界の方は、クライアントの都合などでアプリを昔のバージョンに合わせることがありますよね。CCならCS6や、昨年2013年リリースのCCに戻って利用できます。今までならCDやDVDに残しておくという管理の方法もありましたけども、CCは必要なときに必要なバージョンをダウンロードして使える。今後、これが業界のスタンダードになると思いますね」

—— サブスクリプション型のサービスは、音楽配信サービスや動画・映画配信サービスなどでも増えてきていますね。

 「ほかにも、たとえばセキュリティーソフトなんかは今やほとんどサブスクリプション型ですよね。ソフトウェア業界は今が移行期なのかなと思っています。CSの時代は次の世代のCSまで待って、やっと新たな機能が追加されていましたけど、CCは機能が追加できる状態になれば、アップデートをかけてすぐに新機能を実装できます」

「980円」はイメージ打破の戦略でもある

—— 個人的に気になっていたのですが、CCは、新機能を搭載するスパンは決まっているんですか? バージョンは2013、2014という具合にカウントアップしていくようですが……。

 「この時期までにこれ、という考えはCCでは基本的にないのですが、今後はわかりません。PhotoshopならPhotoshopチーム、IllustratorならIllustratorチームがそれぞれの開発ポリシーの元に開発を進めているので、彼ら次第だと思います。

 ウェブって、技術革新がものすごく速いじゃないですか。なので、開発が『これをいつまでに』と決めても、新しい技術が出てきたら、対応しなければいけない。開発しているあいだにプライオリティーが全然変わっちゃうんですよね」

—— ちなみに、パッケージ型のソフトウェアやライセンスの販売はもうやらないんですか?

 「2013年の段階では、『復活してほしい』というご意見が多かったです。ただ、2014年の6月からライセンスの販売を終了し、パッケージ版はもう昨年から終了しているので、すでに大きく舵は切っていますね。『今後はCCというかたちでご検討をお願いします』というのが今のアドビの姿勢です。

 古い話になりますが、昔はPhotoshopならPhotoshop、IllustratorならIllustratorと、単体で販売していましたよね。それが2004年に『Creative Suite(CS)』という統合パッケージになった。CCは、そこから10年経って、また違うフェーズに入ったということと思います。

 アプリケーションが進化し続けるのと同時に、提供方法も変わっていくのかなと。10年後、CCが完全に主流になったときも、パッケージに戻ることはなく、もっと違うかたちに変わるのではないかと思いますね。

 フォトグラフィプランを思い切った価格にしたのは、いま世間が持っているパッケージ型のソフトウェアのイメージを更新したいという戦略的なアプローチでもあるかもしれませんね」

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