アドビ システムズがクリエイター向けのイベント「CREATE NOW “Best of MAX”」を開催した。イベントでは同社製品の使い方を紹介するデモのほかに、現場でツールを使うプロによるセッションも開かれた。
その中で、始まる前から行列ができ、立ち見が出るほどの人気セッションがあった。登壇したのは博報堂プロダクツの畠山 祐二さん。Adobe Photoshopを駆使して、写真を加工する「レタッチャー」というお仕事をしているという。セッションの内容は「Photoshop CC実践講座 広告写真レタッチ技法 アイデアとヒント」。
何やら聞きなれない職種と、なんとも難しそうな講義だ。だが、「Photoshopに興味を持っている人たちが制作する際のヒント」にもなるお話だという。
一体どのような人物なのか、またプロから見るPhotoshopの魅力とはなにか。直にお話を聞くことができたので、セッションを交えて紹介したい。
写真を修正・加工するのがレタッチャー
―― まず、レタッチャーというのはどのようなお仕事なんでしょうか?
畠山 私が手掛けているのは広告写真で、カメラマンが撮影した写真を、広告の意図に沿って修正をするのがレタッチャーです。ポスターや雑誌、デジタルサイネージなどに使われる写真は、撮影したものがそのまま世に出ることもありますが、ほとんどはレタッチが入っていると思います。
―― どういう修正が入るのでしょう?
畠山 たとえば車の場合はまず、いいライティングの写真を撮るんですね。ベースを撮って、窓とタイヤは違うライティングにして、撮った写真を組み合わせていきます。
―― 使っているツールはAdobe PhotoshopとAdobe Photoshop Lightroomですか?
畠山 そうです。Adobe Illustratorを使うこともあります。デザイナーさんから送られてきたデータの中にある文字をPhotoshopに持ってきて、文字がどのように見えるか検証したりします。ただ、Illustratorでバリバリ作業するということはないです。あくまで検証用ですね。
―― カメラマンが撮った写真を加工してデザイナーに渡すまでがレタッチャーの仕事ということですね。ポスターなどを作る際に、レタッチャーから「こういう機能があるからこういう写真を撮って」とお願いするんですか? それともカメラマンが「こういう写真を撮るからこうレタッチして」というやりとりになるんでしょうか?
畠山 両方あります。合成やレタッチに頼ることがあると、撮影前の打ち合わせの段階で「こういう機能があるから、こういう写真を撮って」と言います。逆に撮影時にタレントを撮る際などで、時間がないから「これを切り抜きできる?」と相談を受けて検討することもあります。
(次ページでは、「畠山さんおススメのPhotoshop裏技」)