Pirate Islandsの
スペックを予想
Pirate Islandsには、“Bermuda”“Fiji”“Treasure Island”という3つのコード名があること「だけ」が知られている。どれが最上位かも定かではないのだが、通例からするとハイエンドがBermudaで、Fijiがミドル、Treasure Islandがローエンド向けではないかと考えられる。ということでこのPirate Islands世代のスペックは完全に筆者の推定である。
おそらく最初に出てくるのはTreasure Islands世代ではないかと筆者は考える。理由はダイサイズ。20nm SoCの生産量はまだそれほど大きくないため、あまり大きなダイだと十分な量が取れない。
また一般論として、立ち上がったばかりのプロセスの歩留まりはそれほど高くないから、これも加味すると小さなダイサイズの製品を先行するのは理にかなっている。実装の確認という意味でも小さなダイサイズの製品の方が便利だろう。
ローエンド、といっても実際にはRadeon R7 260~R7 265あたりの後継と考えるのが妥当ではないかと思う。このあたりが1番数が出る製品であり、後付けの理由ではあるがNVIDIAが発表したMaxwellベースのGPU「GM107」の対抗という意味でも、このクラスに新製品が求められているからだ。
構成としては、既存のBonarieコアが896シェーダーで160mm2ほどの構成になっている。性能を倍とは言わないが1.7倍程度に増やしつつ、ダイサイズを150mm2以下に抑えれば、性能/価格比では随分魅力的になるし、動作周波数も低めに抑えれば消費電力の観点でも優位に立てるだろう。
続いてハイエンドのBermudaが投入されると思われる。こちらは既存のHawaiiより若干小さなダイサイズ(=低価格)と低い消費電力で、GK110に匹敵する性能というあたりに狙いを定めてくることになると思われる。すると大体4000シェーダー強というあたり。
メモリーバスは既に512bit化されているから、この世代では7GHzあたりまでメモリーの速度を引き上げると思われるし、それに見合うシェーダー数という意味でも、やはり4000強あたりが妥当なところかと思う。
最後がミドルレンジで、これは既存のR9 290~R9 290Xの性能にほぼ匹敵するものをより安価になるだろう。時期的には2015年に入ってからになるのではないかと想像する。
ちなみにAMDも次の世代ではStacked Memoryに移行することを考えているようだが、これはまた別の機会に説明したい。
※お詫びと訂正:記事初出時、ロードマップの図におきまして一部のデータが欠損するなど不備がございました。正しいデータに差し替えるとともにお詫びいたします。(2014年3月12日)

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