
Radeon R9 290X
先週に引き続き、今度はAMD GPUのロードマップを更新しよう。AMDのロードマップは連載224回で通り、既存のRadeon HD 7000シリーズをそのままRadeon HD 8000シリーズにリブランドしたものの、ここでのアップデートはほとんどないに等しい状態だった。実際、新規に追加されたのはOlandコアの「Radeon HD 8570/8670」のみで、しかもこれはOEM向け製品だったため、一般には一切出回らなかった。
ブランド名をRadeon R7/R9に変更し
多くの製品を投入
ここに変化が出たのは2013年10月のこと。ブランド名をRadeon R7/R9に変更し、Hawaiiコアの「Radeon R9 290X」や「Radeon R9 290」を追加したことで、より高い性能を比較的リーズナブルな価格で利用できるようになった。
加えて既存のラインナップを、いずれも若干動作周波数や構成を変えるとともに価格を下げて提供したことで、確実に性能/価格比が改善した。
「Radeon HD 7970/8970」は「Radeon R9 280X」に、「Radeon HD 7870/8870」は「Radeon R9 270X」となり、「Radeon HD 7770/8770」は「Radeon R7 260X」となるとともに価格が下げられたことで、300ドル未満といういわばメインストリーム向けの市場における性能の基準が引き上げられたことは間違いない。NVIDIAが対応製品を急遽投入したことからもこれはわかる。
これに続き2013年11月~2014年3月にかけてAMDは合間を埋めるべく多くの製品を追加投入している。まず10月の時点ですでにアナウンスがあった「Radeon R9 290」と「Radeon R9 270」を11月にリリース。12月には「Radeon R7 260」もリリースした。
そして今年1月にはエントリー向けに「Radeon R7 250」とこのサブセットで「Radeon R7 240」を投入するが、これは従来OEM向けのみとされたOlandコアをチャネル向けにも投入した形だ。2月にはCape Verde XTコアを「Radeon R7 250X」として投入するが、これは従来Radeon HD 7760/8760としてミドルレンジ向けに投入していた製品を、そのままローエンドの高いほうという位置づけに格下げしたとも言える。
同様に「Radeon R7 265」も発表されたが、これはR9 270のサブセットとも言える構成で、これをR7グレードに落としたことになる。3月には「Radeon R9 280」が発表されたが、これはRadeon HD 8950のリブランドといった位置づけで考えればいいだろう。
ちなみにOEM向けとしては、他に「Radeon R9 255」や「Radeon R5」シリーズ製品4種類がラインナップされているが、Radeon R9 255はR7 250Xのサブセットといったところ。R5に至っては40nmプロセスを使うCaicosベースの製品であり、これらは表には入れていない。

この連載の記事
- 第712回 推論をわずか20mWで実行するエッジAIチップ「ERGO」 AIプロセッサーの昨今
- 第711回 Teslaの自動運転に欠かせない車載AI「FSD」 AIプロセッサーの昨今
- 第710回 Rialto BridgeとLancaster Soundが開発中止へ インテル CPUロードマップ
- 第709回 電気自動車のTeslaが手掛ける自動運転用システムDojo AIプロセッサーの昨今
- 第708回 Doomの自動プレイが可能になったNDP200 AIプロセッサーの昨今
- 第707回 Xeon W-3400/W-2400シリーズはワークステーション市場を奪い返せるか? インテル CPUロードマップ
- 第706回 なぜかRISC-Vに傾倒するTenstorrent AIプロセッサーの昨今
- 第705回 メモリーに演算ユニットを内蔵した新興企業のEnCharge AI AIプロセッサーの昨今
- 第704回 自動運転に必要な車載チップを開発するフランスのVSORA AIプロセッサーの昨今
- 第703回 音声にターゲットを絞ったSyntiant AIプロセッサーの昨今
- 第702回 計52製品を発表したSapphire Rapidsの内部構造に新情報 インテル CPUロードマップ
- この連載の一覧へ