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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第270回

20nmプロセスへの移行を着実に進めるAMDのGPUロードマップ

2014年09月15日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 先週はNVIDIAのGPUロードマップのアップデートだったので、今週はAMDの方をお届けしよう。前回のアップデートは3月だったので、こちらも半年ぶりである。

2013~2015年までのAMD GPUのロードマップ

300Wまでという規定を無視した野心作
Radeon R9 295 X2

 まずは前回のロードマップからのアップデートだ。2014年4月、AMDはウルトラハイエンドとも言うべき、「Radeon R9 295 X2」を発表した

Radeon R9 295 X2

 これまでデュアルGPU構成のビデオカードは例外なくコアやメモリーの動作周波数を落としていた。これは最大でも300WまでというPCI Expressの規定(正確にはPCI Express Card Electrical Mechanical Specificationという仕様)に、カード1枚あたりが利用できる消費電力は最大でも300Wまで、と規定されているためだ。

 消費電力が大きければその分発熱も多いわけで、300Wというのはおおむね現実的に上限とみなされ、この枠にデュアルGPUを押し込もうとすると、どうしても動作周波数と供給電圧を下げるしか手がない。

 ところがRadeon R9 295 X2は「300W枠を無視する」という大胆な決断を下し、この結果TDPが500Wという化け物に仕上がった。もちろん発熱も壮絶に多くなるが、これは水冷を標準とすることで乗り切ったというか、乗り切れてないのかもしれないが、とりあえずの解決にはなった。

 そしてRadeon R9 295 X2ではその代わり一切動作周波数を下げないどころか、Radeon R9 290Xよりもわずかながら動作周波数を引き上げることに成功する。

 この構成は、それ以前にNVIDIAが発表していた「GeForce GTX TITAN Z」のシェアを奪うのに十分であった。GeForce GTX TITAN ZはやはりGK110をデュアル構成で搭載するが、こちらは300Wの枠を律儀に守ろうとした製品だったがために、動作周波数は若干落とさざるを得なかった。

GeForce GTX TITAN Z

 このクラスの製品になると、性能/消費電力比には大きな違いはないため、消費電力を大きく取れる方が性能が高い。オマケにRadeon R9 295 X2はGeForce GTX TITAN Zを1000ドル近く下回る。構成を考えたら大バーゲンプライスなわけで、GeForce GTX TITAN Zに勝ち目はない。結局、GeForce GTX TITAN Zは5月末に40万円前後の価格で発売されたが、この勝負はAMDの勝ちという感が強い。

日本限定GPUの
Radeon R7 250XE

 さて、これに続き8月には日本限定商品として「Radeon R7 250XE」が発売される。ロードマップの図にはこれを入れていないが、これはあくまで日本限定のカスタム版で、名前の通りRadeon R7 250Xの動作周波数変更版だからだ。

日本限定のRadeon R7 250XE搭載ビデオカード

 よくあるOEMメーカーの独自オーバークロック製品に近いが、相違点はオーバークロックではなくアンダークロックなこと。Radeon R7 250Xが最大1GHz駆動なのに対し、Radeon R7 250XEでは860MHzに抑えられる。シェーダー構成やメモリーバス幅/メモリー速度などは完全に同じであるが、メモリー容量は1GBに抑えられている。

 その代わりといってはなんだが、Radeon R7 250Xは消費電力が95Wで、6ピンの補助電源なしだと動作もおぼつかないが、Radeon R7 250XEは最大消費電力が55Wに抑えられており、補助電源なしで動作することになる。

 このあたりは、MaxwellベースのGM107を搭載したGeForce GTX 750の低消費電力品、例えばこちらへの対抗製品という位置づけで良いかと思う。

Tonga Proコアを採用する
Radeon R9 285

 最後のアップデートが、今年9月に発表されたばかりの「Radeon R9 285」である。この製品は、新しいTonga Proコアを採用する製品だ。

「Radeon R9 285」のリファレンスモデル

 このTonga Proコアについて説明しよう。コアそのものは既存のTahitiコアの改良版である。GCNアーキテクチャーそのものには手が入っていないが、より性能/消費電力比を改善するような変更が施されたとしている。

 また、ジオメトリープロセッシングの性能が改善されたり(Tahiti Pro比で最大4倍)、16bit FPUを含む新規命令の追加や、タスクスケジューリング性能の向上、データをロスレス圧縮することによる帯域の40%向上などが含まれる。

 Radeon R9 280からRadeon R9 285でメモリーバスそのものは384bitから256bitに減らされたにも関わらず、実質的なアプリケーションからのメモリーアクセス性能が改善されたのは、このデータのロスレス圧縮によるところが大きい。

 また、UVDに4Kのサポート(さすがにHEVCのサポートはまだで、あくまでH.264のHigh Profile Level 5.2に留まる)が追加されたのも新機能である。またTahiti世代はTrueAudioのサポートもなかったが、これも追加されている。

 この変更は、Pitcain→Curacaoの時に近い。この際もシェーダーの構成などは変更がなかったが、TrueAudioの追加など新機能が追加されるとともにDirectX 11.2相当にアップグレードされたが、同じようなシナリオでTahitiコアをリニューアルしたのがTongaと考えれば良い。このTongaを搭載したRadeon R9 285は、GeForce GTX 760を競合製品と位置づけている。

→次のページヘ続く (16nmにシフトするNVIDIAとは違い、20nmに移行するAMD

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