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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第243回

Pirate Islandsは今秋登場か? AMDのGPUロードマップ

2014年03月10日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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これからは20nmプロセスに移行
新GPUは今秋登場か?

2013~2015年のAMD GPUロードマップ

 現在までの話が終わったところで、ここからは今後のロードマップを解説していこう。さすがに28nm世代での新コアはもう計画がないようで、次のPirate Islandsは20nm世代に移る模様だ。この結果として以下のことが予想される。

  • ファウンダリーはTSMC一択
  • 登場時期は早くて今年第2四半期。実際は第3四半期にぎりぎりかかるくらいか?

 実はPirate Islandsのコード名そのものは2013年の後半には知られていたのだが、コード名だけでそれ以上細かい話は今もってまったく聞こえてきていない。

 ただ、AMDは引き続きSweet Spot戦略(巨大ダイを製造するのではなく、手頃なサイズのダイサイズに注力する)を継承しており、この結果としてGK110に匹敵するような巨大なダイサイズのGPUを製造する気配はない。既報の通り既存のHawaiiですらかなり巨大(480mm2)である。今後、性能を増やそうとすると以下のどちらかしかない。

  • 動作周波数をあげる
  • シェーダー数を増やす

 動作周波数をあげるとそのまま消費電力増につながるので、これは厳しいところ。特に利用しているのがTSMCの28nm HPM(High Performance Mobile)で、これはそもそもあまり動作周波数を上げることを前提としていないプロセスだ。1GHz近辺で使っている分には同じ28nmのHPよりもずっと省電力だが、これを引き上げてゆくとむしろHPを使った方がマシだったという事になりかねない。

 したがって、動作周波数を上げるのは困難である。必然的に性能改善はシェーダ数を増やす方向になるが、そもそも現状ですらダイサイズが巨大化している以上、シェーダー数を増やすためにはプロセス微細化が必要となる。

 そのプロセス微細化だが、現状では2つの選択肢がある。一つはTSMCの20nm SoC→16nm FinFET、もう1つがGLOBALFOUNDRIESの14XM(14nm FinFET)である。このうち、現状小規模な生産が開始されている唯一のものがTSMCの20nm SoCプロセスである。

FinFETという3次元構造トランジスタを採用した「14nm XM」(GLOBALFOUNDRIESのウェブサイトより抜粋)

 「GLOBALFOUNDRIESの20nmは?」という声も聞こえてきそうであるが、これはない。一応GLOBALFOUNDRIESは20LPM(関連リンク)というノードをカタログには載せているが、これが使い物になると考えている顧客はほとんどおらず、GLOBALFOUNDRIES自身もこのプロセスを半ば捨てている気配もある。

 GLOBALFOUNDRIESの20nmが選択肢から外れる理由は、それ以前のプロセスを考えてみるとわかりやすい。45nmや32nmのPD-SOIプロセスはIBM/AMDと共同開発したことで実現した。ここで大きな貢献があったのはIBMで、そのお陰で無事プロセスが立ち上がったともいえるわけだが、28nmに関してはこうしたIBMからの技術サポートが期待できる状態になく、結果としてTSMCに比べて1年ほど遅れることになった。

 これは20nmについても同様であるが、厄介なのはGLOBALFOUNDRIESは続く14XM世代でTSMCに追いつくロードマップを立てている。となると、相当開発を前倒しにしないといけないわけだ。そうなると20LPMと14XMの両方を同時に開発するだけの人員も資金も時間もない。

 20LPMと14XMは配線層は同じで、トランジスタのみが異なる形になっており、GLOBALFOUNDRIESは20LPMの配線層は真面目に開発をした(これはそのまま14XMに利用される)が、トランジスタそのものは14XMを先行しており、20LPMは「とりあえず動くものはある(特性は気にするな)」状態になっている。

 TSMCも当初、ほぼ同じモデルで動いていた。20nm SoCを使いたい、というユーザーはほとんどおらず、ほぼすべてのユーザーが16nm FinFETを希望したので、そちらを優先するという方向性を示していた。

 ところがそこからしばらくすると、「やっぱり20nm SoCを使いたい」というユーザーが増えたため、20nm SoCについても真面目に提供する方針を固めた。

 なぜかといえば「本当に16nm FinFETが一発で動くかどうか不明」という、これはこれで当然の懸念によるものだ。20nm SoCは微細化こそ進むものの、FinFETにいきなりジャンプするよりは技術的難易度が低い。

 トランジスタの特性としては既存の28nm HPMと同じ路線、つまり1~1.5GHz程度の動作周波数が常用域という方向性になるが、とりあえず微細化により同じダイサイズならより多くのトランジスタを詰め込める様になることは確実なので、ここにメリットを見出せるユーザーならば16nm FinFETよりもずっとリスクが少ないことになるからだ。

 こうなると、少なくともAMDのGPUに関しては事実上TSMCの20nm SoC以外に選択肢がないことになる。すでにTSMCの20nm SoCはリスク生産の段階を過ぎ、少量ではあるが量産が開始されている。

 まだ小口ユーザーが使える段階ではないが、AMDのような大口ユーザーであれば(生産量はともかくとして)利用には問題はない。以上の理由から、Pirate Islands世代はほぼTSMCの20nm SoCプロセスを利用することで決まりと思われる。

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