インテルはMWCにおいて、次世代のスマートフォン向けプロセッサ、MerrifieldとMoorefieldを正式発表した。また、同時にLTEモデムチップの発表やAtomプロセッサを用いるスマートフォン製造に関わる企業などについても触れた。
4コアのMerrifieldと8コアのMoorefield
スマホ向けプロセッサは予定通りに進行中
MerrifieldとMoorefieldは、22nmプロセスで製造されるスマートフォン向けのAtom Socプロセッサ。マイクロアーキテクチャは、すでに登場しているBay Trailと同じだが、SoCとしての構成がよりスマートフォン向けになっている。また、64bitモードを搭載しており、今後の登場が予定されている64bit版Androidにも対応するようだ
Bay Trailでは、すでにHPが64bit版Windowsを搭載したタブレットを発表しているが、スマートフォン向けでは64bit版AndroidなどのOS側の対応がまだなので、現時点ではあくまでも予定になる。
Merrifieldは4コア、Moorefieldは8コアというのが最大の違い。Merrifieldは今年前半、Moorefieldは今年後半の出荷の予定で、開発が進んでいる。型番はそれぞれ「36xx」「38xx」となる予定。また、2014年内には3Gモデムを搭載したSoFIA 3G(コード名)が登場する。
また、これに合わせモバイルモデムチップとして、「LTE 7260」を2014年第2四半期に投入する予定だ。こちらはLTEカテゴリ6に属する製品で最大300Mbpsの通信が可能であり、30以上のバンド(周波数帯)に対応する。
もっとも、これらの製品については、これまでにインテルがなんらかの形で説明していたり、情報のリークがあったものであり、特に大きな方針変更はないという見方もできる。ちなみに2014年末には、14nmプロセスで製造されるCherry Trailや2015年中程に登場するBroxtonなども現時点では予定通りのようだ。
Atomベースのスマホ開発におけるパートナーを公表
数々の挫折を乗り越え、今度こそ成功する?
説明会では、さらに、Atomプロセッサなどを使って、製品を開発する企業との提携についても発表を行なっている。パートナーとして発表されたのは、ASUS、DELL、Lenovo、Foxconnなど。それぞれ、単年度の契約ではなく、複数年の契約になっているという。
なぜ複数年というと、過去の経緯があるからだ。MWCでインテルは過去に2回、携帯電話に関わる大きな発表を行なっている。1つはNokiaとの提携で、もう1つはNokiaの持つMaemo(LinuxベースのOSでこれを搭載したスマートフォンも出荷された)と、Intelが推すMoblinとマージしたMeeGoの発表である。
とはいえ、その結末は皆の知るところ。NokiaはMeeGo端末を1機種だけ出したものの、Microsoftと提携し、ARM系であるQualcomm製プロセッサを使うWindows Phoneにシフトしてしまい、さらにはMicrosoftによる買収も決まっている。また、インテルは最初のスマートフォン向けプロセッサであるMoorestownによるスマートフォンの共同開発をLGエレクトロニクスと行なうとしていたが(関連記事)、こちらも結局、実際の製品が出ることはなかった。
こうした背景があるため、アリバイ的に1つ製品を出して終わりという単年度の契約ではなく、複数年の契約を今回のパートナーと結んだとみられる。
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