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NetApp Innovation 2012 Tokyo基調講演

共有仮想インフラの次へ踏み出すネットアップ

2012年12月07日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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12月6日、ネットアップは東京都内でプライベートイベント「NetApp Innovation 2012 Tokyo」を開催した。午前中に行なわれた基調講演では、長く掲げてきたメッセージである“ユニファイド・ストレージ”に代わる新たなコンセプトである“アジャイル・データ・インフラストラクチャー”を中心に据えた講演が行なわれた。

パートナーとともに堅実に成長

 まず登壇した米ネットアップのワールドワイド・フィールド・オペレーション担当取締役副社長のロブ・サーモン氏は、まず今年が1992年に創業したNetAppの創立20周年に当たることと、自身が1994年1月に入社した12人目の社員であることを明かした上で、創立から間もない自身の入社時点ですでに日本にはNetApp製品を扱うパートナーが存在していたことを紹介し、長年にわたる日本のパートナーの支援に感謝を述べるとともに、今後とも日本市場を重視していく姿勢を明らかにした。

米ネットアップ ワールドワイド・フィールド・オペレーション担当取締役副社長 ロブ・サーモン氏

 同氏は20年に渡ってストレージ業界をリードしてきた同社の強みの根源として、「企業文化」「成長するビジネス」「イノベーション」「業界の代表」といった要素を挙げ、さらにイノベーションについては同社自身の収益源をも変え続けてきたことを示した。当初はNASによる「ファイルサービス」が収益の柱だったが、その後「テクニカルコンピューティング」「ビジネスアプリケーション」「ストレージ効率化(Storage Efficiency)」「共有仮想インフラ」と同社の収益の中心が変遷してきた。

 この変化は、同社が起こしたイノベーションの結果というわけだ。そして同氏は、次の収益源として「アジャイルデータインフラ」「プライベート/パブリッククラウド」「ビッグデータ」を挙げた。市場ではまだ共有仮想インフラの構築が大きなテーマとなっているが、ネットアップはすでに次のステップに向けて動き出しているということになる。さらに同氏は、同社の今後のイノベーションの戦略について、「Data ONTAP 8」と「Eシリーズ」の2本柱で展開されるとした。

NetAppの収益源の歴史的な変遷

今後のネットアップのイノベーション戦略は、Data ONTAPによる共有統合ストレージと専用ワークロード向けのEシリーズの2本立てで推進されていく

 続いて、今年10月1日付けで日本法人の代表取締役社長に就任した岩上 純一氏が登壇し、日本市場に関するアップデートを行なった。

ネットアップ 代表取締役社長 岩上 純一氏

 日本市場での売り上げ推移は、同氏の入社以降順調に成長しているという。同社の会計年度は5月開始で、現在はFY13の上半期が終了したところだが、FY12上半期との比較では20%増と成長が継続している。東日本大震災の発生にもかかわらず成長が継続している理由について同氏は「ストレージの評価は容量やGB単価の面で行なわれがちだが、ビジネスプロセスからデータを見、ストレージインフラを考える立場から戦略を構築してきた」と語り、こうした取り組みがユーザーやパートナーの理解を得たことが成長の要因だとした。

Hadoop導入を促進させるNOSHを推進

 最後に登壇した米ネットアップのProduct and Solutions Marketing VPのブレンドン・ハウ氏は、「NetAppテクノロジーの今、そして今後のビジョン」と題する講演を行なった。

米ネットアップ Products and Solutions Marketing VP ブレンドン・ハウ氏

 この同氏はまず現在の市場が「共有統合インフラ」と「専用インフラ」に2分されている、という認識を示した。従来ストレージベンダー各社は分散したストレージの統合/共有を推進することで効率を向上させることに取り組んできたわけだが、用途によっては共有/統合に向かないシステムも存在するということだ。

 同氏が具体例として挙げたのは、HPCやフルモーションビデオなどの高いパフォーマンスを要求される分野だ。この2つの市場の要求はまったく異なるため、同社はこの両方に向けてそれぞれ適切な製品開発を進めていくことになる。共有統合インフラに対応するのが「Clustered Data ONTAPソリューション」で、専用インフラに対応するのが「Eシリーズソリューション」となる。同社が言う“アジャイルデータインフラ”とは、FASファミリーによる変化への迅速な追従(アジリティ)と、Eシリーズによる高速処理の両方を合わせた概念だと思われる

同社の戦略を具体的に実現する2系統のプラットフォーム

 Clusterd Data ONTAPは、同社の中核的なストレージOSであるData ONTAPが、Ver.8で新たに取り込んだ機能で、いわばスケールアウトNASの機能を追加した形だ。従来型の、NASヘッド単位でシステムが分断されるという問題を解消し、透過的な運用を可能にする柔軟性が得られる。一方でEシリーズではコストパフォーマンスを重視し、高密度と超広帯域を実現していくことになる。

同社のソリューション戦略を改めて明示したもの

共有統合ストレージを支えるData ONTAPの注目機能である、Clusterd Data ONTAPの詳細説明

 また同氏は、ビッグデータに対する新たな取り組みとしてHadoopへの取り組みの強化として、ユーザーのHadoopの導入を容易にするソリューションとしてNOSH(ノシュ、NetApp Open Solution for Hadoop)の提供を行なっていることを紹介し、国内で新たにClouderaおよび新日鉄住金ソリューションズとのパートナーシップを確立し、3社協同で企業向けHadoopソリューションを提供することを発表した。このソリューションはNOSHとClouderaのCDH(Cloudera's Distribution including Apache Hadoop)を組み合わせたもので、新日鉄住金ソリューションズを通じて販売されるものだ。

同社のHadoopへの具体的な取り組みとなるNOSH(NetApp Open Solution for Hadoop)

同社自身がHadoopの活用で得た成果の紹介

 同氏はNOSHの開発に当たって自社内での利用経験について紹介した。同社のストレージ製品から送られてくるログデータの分析してユーザー支援を行なう“NetApp AutoSupport”では膨大な量のログデータの分析の困難さに直面しており、たとえば240億件の非構造化データとして保存されているログに対して1件のクエリ処理を実行するのに4週間かかるという状況だった。

 これでは今後さらに増大するログデータに対応することは到底不可能だということで10ノードのHadoopクラスターを導入した結果、4週間の処理時間が10.5時間にまで短縮できたという。今回の協業は、ビッグデータ処理のために大量に必要になるストレージを提供する、という立場ではなく、ビッグデータ処理のためのインフラを提供する、というより高いレイヤでのビジネスに今後同社が注力していくことの具体的な表われだと言えそうだ。

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